武道館決定のJuice=Juice 1年ぶりの中野サンプラザ凱旋公演に“成長”と“本気”を見た

 さらに、もう1人のリードボーカルであるサブリーダーの金澤朋子は、ユニット結成の1年前となる2012年11月に研修生へ加入。元々、アイドルに憧れを抱きハロプロへ加入した来歴を持つメンバーだが、1stアルバムにも収録される3rdシングル『ブラックバタフライ』の発売に合わせ、つんく♂がブログへ残したエントリー(2014年6月21日)では、「この子の声がJuice=Juiceの特徴のひとつになりました」「ダンスも、表情も眉毛も含めて、セクシービーマー」と、金澤の妖艶さを評価する言葉も残されている。

 セクシーボイスと形容するのはたやすいが、宮本と高木を“動”とするならば、ユニット内では一歩引いた“静”のパフォーマンスを魅せるメンバーで、歌もダンスもしなやかさを備える。ユニットが主演を務めたドラマ『武道館』(フジテレビ系)の主題歌であるNEXT YOU名義のシングル曲「Next is you!」ではアクセントの強弱がとりわけ目立つ楽曲の中でも存在感を放ち、一方、自身のパートからのちに愛称となった“ローズクォーツ”が含まれる1stアルバムにも収録された「イジワルしないで 抱きしめてよ」では、その個性をいかんなく発揮している。

 1枚目をベスト盤の『The Best Juice』に、2枚目を新規収録曲も交えた『The Brand-New Juice』という構成にした1stアルバム、そして、現在も続くツアー『LIVE MISSION 220』からも感じ取れるのは、2012年3月に研修生へ加入した植村あかり、そしてほか5人と違って研修生を経験せずにメンバーへ抜擢されたリーダーの宮崎由加という2人の成長である。

 結成時からのMVを観返すと、当初は与えられるパートが少ない印象のあった両者であるが、1stアルバムにおける楽曲の追加と共に目立つ箇所が明らかに増えた。加えて、筆者の経験した限りでは、今回のツアー序盤、2015年6月27日に埼玉のライブハウス・HEAVENS’ ROCKで開催された『〜code1→Begin to run〜』から、先日の中野サンプラザ公演をたどると、パフォーマンスを楽しむ余裕とライブに懸ける自信が如実に感じ取れるようになった。

 各ユニットを結成する際、即戦力となる人員と、見届けたいメンバーをバランスよく交えるのはハロプロの特色でもある。植村はなかでも、結成当初から歌やダンスのすべてに「劣等生」とレッテルを張られていた1人だ。しかし、1日に同会場で2回もの公演を重ねるほどの、ファン目線からしても過酷と思える今回のツアーを経て、明らかな成長を楽しませてくれる存在といえるだろう。

 一方、ときに敬意を表してその振る舞いが“あざとい”とも称されるリーダーの宮崎由加は、加入前につんく♂のブログ上で「ダンス経験があったわけではないのに、ここまで本当によく付いてきたなって思います」とその努力を評価された1人。今回の過密なツアー日程の中では、先の中野サンプラザの直前、2016年2月9日にじん帯損傷による全治3週間の傷を負ったと告白したが、その影響を感じさせることのないパフォーマンスを魅せてくれた。

 目標に据えていた単独での武道館公演実現にたどり着いたJuice=Juiceは、数あるアイドルユニットのなかでも、ステージ上でほとばしる汗から、成長と本気をとりわけ感じさせてくれる1組である。ゴールはまた新たな幕開けにもなるが、武道館の先で彼女たちがどんな光景を目の当たりにするのか、多くの人に見届けていただきたい。

■カネコシュウヘイ
編集者/ライター/デザイナー。アイドルをはじめ、エンタメ分野での取材や原稿執筆を中心に活動。ライブなどの現場が好きで、月に約数万円はアイドルへ主に費やしている。単著に『BABYMETAL 追っかけ日記』。執筆媒体はWeb『ダ・ヴィンチニュース』『クランクイン!』『ウレぴあ総研』、雑誌『日経エンタテインメント!』など。

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