かりゆし58が、日比谷野音で見せたデビュー10年の軌跡「もう1回ゼロに戻るチャンス」

かりゆし58が日比谷野音で見せた10年

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 この日が誕生日だったシンガーソングライターの日食なつこがキーボーディストとして参加した「雨上がりのオリオン」からライブは祝祭のムードを強めていく。軽快なロックンロールによって開放的なムードが広がった「カイ・ホー」、スカのビートと“一生に一度の夏”の光景を描いた歌がひとつになった「サマーソング」、“AI AI AI AI 愛と呼ぶ”という合唱とともにオーディエンスがタオルを回し、宮平がステージ前方で煽りまくった「愛と呼ぶ」。小さい子供から年配の方まで(かりゆし58のライブには親子連れのお客さんが本当に多い)が楽しそうに体を揺らし、大きな声を上げている。ひとりひとりが好きなように音楽を楽しみ、感情のすべてをナチュラルに解き放つーー前川は「俺んちのガーデンパーティに来たと思って、楽しんでいって!」と叫んでいたが、こういうフレンドリーな空気を自然に生み出せることも、このバンドの大きな魅力だ。

 故郷の懐かしい風景を歌った「電照菊」、かりゆし58の存在を幅広いリスナーに浸透させたエモーショナルなラブソング「ナナ」からライブは後半へ。「ウクイウタ」では右手の不調のためにライブ活動を休止している中村洋貴(Dr)がステージに登場、ファンと一緒に歌い、大きな歓声が巻き起こる。「洋貴がドラムを叩けなくなって、ツアーを中止しようと思ったこともあったんだけど、洋貴に“俺らだけの10周年じゃないから、ツアーはやってほしい”と言われたんです」(前川)というMCを挟み、「愛の歌」「アンマー」を披露(中村はパーカッションを演奏)、大きな感動のなかライブ本編は終了した。

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中村洋貴

 アンコールでは『フリーター、家を買う』『図書館戦争』などの作品で知られる小説家・有川浩が「アンマー」をモチーフにした小説(7月19日に発売される『アンマーとぼくら』)を発売することを発表。さらに中村、日食を交え「オワリはじまり」を披露し、10周年ツアーのエンディングを飾った。

 ライブ中、前川は「10年という数字はもう1回ゼロに戻るチャンスだと思っています」と語った。リスナーの心を解放し、心地よい一体感を作りだすパワーを持ったかりゆし58の歌は、ここからさらに大きなスケールを獲得することになるだろう。

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(文=森朋之)

■オフィシャルサイト
http://kariyushi58.com/

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