配信限定シングル「pie jesu」リリースインタビュー
坂本美雨が語る、聖歌隊・CANTUSと歌う楽しさ 「一番近くにいる人がまず喜んでくれれば」
坂本美雨が、3月11日に配信限定で「pie jesu(ピエ・イェズ)」をリリースした。この楽曲はイギリスの作曲家、アンドリュー・ロイド・ウェバーが1985年に発表した鎮魂歌の中の1曲。今回、坂本が9人の女子聖歌隊・CANTUS(カントゥス)とタッグを組み制作を行った。透き通った坂本美雨の歌声にCANTUSの美しいコーラスが重なり合い、haruka nakamuraのピアノと重低音のアレンジが楽曲の壮大さを生んでいる。
3月4日には、Restaurant Bar CAY(南青山)にて開催された『TOKYO FM ホリデースペシャル じぶんらしく生きる・働くsupported by JICA』で、「坂本美雨 with CANTUS」として出演し、「きらきら星」などの童謡と共に「pie jesu」を初披露した。「pie jesu」制作エピソードや出産を通しての考え方の変化から、自身の音楽に対する表現方法、アルバム発売に向けての活動方針まで。生後7カ月のお子さんを抱っこしながらの貴重なインタビューとなった。(渡辺彰浩)
私たちが歌っているのが想像できた
――そもそもCANTUSのみなさんとはどういった繋がりだったのでしょうか?
坂本:たぶん6、7年前になるんですけど、私が中島ノブユキさんと何回かライブをご一緒していた時に、ノブユキさんがCANTUSを紹介してくれて、そこでコーラス参加してくれたのが最初でした。
――3月4日の公開収録が「坂本美雨 with CANTUS」としては初めてのライブでした。
坂本:CANTUSと一緒にやりたいなっていう気持ちは以前からあったんです。CANTUSのリーダーの美帆ちゃんと今年の1月に会って話しはじめて、それから何度か打ち合わせをして「『pie jesu』をまず配信しよう」ということになりました。
――あの日のライブでは、「きらきら星」や「星に願いを」といった楽曲を披露されていました。
坂本:一昨年の年末にNHK-FMでディズニーの特番(『今日は一日“ウォルト・ディズニーアニメ音楽”三昧』)にゲストで呼ばれて、ディズニーの楽曲を何曲か歌ったんです。その時に歌った「星に願いを」を今回入れて。その前にもCANTUSのライブにゲスト出演した時にやっていたのがアメリカ民謡の「シェナンドー」だったり、お互いよく知っていてライブでもできる曲はいくつかあったので、そのなかから今回みんなが知ってる曲をやってみようということになりました。
――ライブの選曲にはそのような背景があったのですね。そして、最後には今回リリースとなった鎮魂歌「pie jesu」を披露していました。なぜこの曲をリリースしようと考えたのでしょうか?
坂本:私とCANTUSが一緒にやる上での共通認識として、子守歌とか、子供と一緒に歌える曲をやりたい、という思いがあったんです。そんななかで、「3月11日に一曲配信しようよ」ってアイディアが出て、こういう日だからというのもあって、美帆ちゃんが「美雨ちゃんの声に合うんじゃないか」ということで鎮魂歌の中からいい曲をレコメンドしてくれて。ただ、鎮魂歌をそのまま鎮魂歌として歌うより、「pie jesu」なら私たちなりの子守歌ができるんじゃないかなと思いこの曲を選びました。メロディーもすごく美しいですし、私たちが歌っているのが想像できたんですよね。優しいメロディーで語りかけるような歌い方ができるなぁと思ったんです。
――3月11日の震災があってから、こういう楽曲を歌いたいという思いはあったのでしょうか?
坂本:そこにものすごく重きを置いていたというわけではないのですが、3月11日に配信をしなくても、ずっとそういう気持ちはありました。今回は私たちのテーマと曲とタイミングがあったということだと思います。
――なるほど。「pie jesu」には中学生のうららさんがボーカルとして参加しています。先日のライブにも出演していましたが共演してどのように感じましたか?
坂本:うららちゃんはここ最近CANTUSと共演しているんですね。彼女のまっさらな歌声は胸を打ちますし、自分はあのような歌い方はもうできないなと思いました。何も癖が付いてないし、変に伝えようという意気込みもない、呼吸のような歌だなと思います。
――さらにこの楽曲はharuka nakamuraさんがアレンジを手がけています。
坂本:harukaさんも美帆ちゃんが今回の楽曲に合うんじゃないかとレコメンドして繋いでくれたんです。もともと音楽は聴いていて、harukaさんは世界観がはっきりしているし、彼と私とCANTUSというタッグでやりたいことっていうのがすごく明確で、迷いがなく、それぞれの点が線で合わさったなと思います。声だけだと緊張感もあるのですが、harukaさんのアレンジでそれが少し和らいで森に誘いこまれているような感じになったかなと思います。私とうららちゃんとharukaさんのピアノで「いっせーのせ」でレコーディングして、後からCANTUSのみなさんがコーラスを重ねていってくれました。そこにharukaさんが少しアレンジを加えて。