坂本美雨が語る、聖歌隊・CANTUSと歌う楽しさ 「一番近くにいる人がまず喜んでくれれば」

坂本美雨が語る、CANTUSと歌う楽しさ

大勢で歌う喜びや楽しさというのは代えがたいものがありますね

――harukaさんのピアノとアンビエントミュージックとしてのアレンジが印象的でした。ジャケットの担当は写真家の木村和平さんですね。

坂本:木村さんも美帆ちゃんの友達なんです。まだ私は会ったことがないのですが、何枚か作品を見せてもらって、この曲に合うなと思って。木村さんは東京と福島を行き来しながら活動しているということもこの曲に縁があるなと感じました。ゴテゴテとデザインを施すよりも、一枚印象的な写真に私の手書きの文字、というすごくシンプルなものがマッチしたなと思います。

――確かに、淡い色遣いと遠くを見ている子供の写真が楽曲と合っているなと感じました。あの日のライブの後に行っていたトークイベントの中で印象的だったのが、坂本さんの「子供を産んでから世界中の子供が他人事ではなくなった」という言葉でした。「pie jesu」はその思いに通ずるものがあるようにも感じます。

坂本:世界中の子供とそのお母さんの気持ちというのを克明に想像できるようになったし、なんであの国にいる親子は食べるものにも苦労していて私たちはこんなに恵まれているんだろうとか。みんな子供は当たり前に幸せになるべきだし、安らかに何にも心配なくおっぱい飲んで、寝て、みんなに守られて育つべきだし。そうなるのが当たり前なのに、そうじゃない子の方が世界中には多くて。そう思うと、ちょっとでも親子に安らいでもらいたいと考えるになったし、そのために自分が出来ることがあるならやりたいと思いますね。みんなの日常に歌があればいいなと思うし、私自身歌によってすごく救われている毎日なので、今までよりもみんなの子育ての中に私の歌がちょっとでも役立てればいいなという気持ちもあります。

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坂本美雨

――トークイベントのタイトルは「自分らしく生きる・働く」でしたが、坂本さんは最近では猫好きがこうじて猫の偏愛フォトエッセイ『ネコの吸い方』や猫好き芸能人としてテレビ番組にも出演されていますね。

坂本:意外な展開ですけどね(笑)。自分がただ好きでやっていたことがだんだん仕事に結びついてきたなと思いますけど、そのことも、根底には、動物愛護のことや殺処分をなくしたいとか、動物虐待を減らしたいとかそういう社会問題的なことに目がいくきっかけになればいいなという思いがあって。猫ブームというのもあって、個人的に続けてきたことがなんとなく社会に取り上げられるようになってきたので、それは計算してできることではなかったし、「自分らしさ」かって言われたら分かんないですけど、でも続けてよかったなと思うことではありますね。

――なるほど。楽曲に話を戻して、坂本さんはこれまで「坂本美雨と蓮沼執太クルー」やおおはた雄一さんとの「おお雨」など様々な形式で活動されていますが、「坂本美雨 with CANTUS」としてレコーディング、ライブをしてみてどのように感じましたか?

坂本:もちろんそれぞれ違う喜びがあるんですけど、大勢で歌う喜びや楽しさというのは代えがたいものがありますね。蓮沼さんとも大勢でしたが、コーラスが重なりあうというのは今まであんまりやったことがなくて感動しましたね。

――“声”という点では今までで一番数が多いですもんね。今作は「歌声」をテーマにした楽曲でもあります。坂本さんが楽曲を制作、表現する上で一貫していることは何かありますか?

坂本:うーん、漠然としているかもしれませんが、世界に対してなにかしら「良いもの」であることですかね。例えば、言葉自体が美しい、メロディーが美しいとか。私は歌うものが世界になんらかの良い影響を及ぼすものじゃなかったら、別にやる必要がないと思っているので。自分が言いたいからなんでも言うってことではないです。表現者としての線引きというか、言いたいことがあっても悪い言葉とかマイナスの人を貶める言葉は使いたくないという潔癖な気持ちがあります。自分の中にもマイナスな感情や悪口はもちろんあるし、ダークな部分も多いですけど、音楽でそれを絶対にやりたくない。それは旦那と夜言い合っていればいいやっていう(笑)。表現するってことを使ってマイナスなことは絶対にしたくないですね。

――最後に、2016年は「坂本美雨 with CANTUS」として今作「pie jesu」のリリースをスタートにアルバム発売に向けて音源を制作していく予定と聞いています。どういった活動にしていきたいと考えていますか?

坂本:子守の合間に活動みたいな感じで、あっという間に過ぎていきそうです(笑)。(お子さんを見つめながら)一番近くのこの子が私の歌を聴いていくので、ちょっとでも笑ってくれたり、安心して眠くなってくれたりするといいな。一番近くにいる人がまず喜んでくれればいいなと思う。そんな歌をベースにCANTUSと話し合ってやっていくかなと思います。CANTUSにも子育てしているメンバーが多いので、そういうこともすごく話し合いやすくて。ライブもママさんコーラスとしてどんどん増えていくような、参加できるライブも面白そうですよね。童謡もそうですし、みんなが歌えそうな曲もたくさんある。制作予定のアルバムもカバー中心の作品になると思います。

――ママ友を連れて来れるライブになったら楽しいですよね。

坂本:そうですね(笑)。まずは子供が観に来られるライブというのが少ないので、そういうのは是非やりたいです。子供を連れて行動するのがどれだけ大変かも身にしみているので、これからはお母さんが来やすい時間帯とか値段設定も含めて(笑)、考えていきたいですね。

(取材・文=渡辺彰浩)

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坂本美雨『pie jesu』
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坂本美雨サイン色紙
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「mysound」QRコード

■リリース情報
mysound
http://ymh.jp/sakamotomiu_rs
ヤマハの音楽配信サイト「mysound」購入者限定、抽選で10名に坂本美雨サイン色紙をプレゼント。

通常配信
『pie jesu』
発売日:2016年3月11日(水)
価格:iTunes、レコチョク:¥250(税込) その他サイト:¥257(税込)

ハイレゾ配信
『pie jesu <24bit/96kHz>』
発売日:2016年3月11日(水)
価格:¥500(税込)

■オンエア情報
3月21日(月)13:00~13:55 オンエア 
TOKYO FM『TOKYO FM ホリデースペシャル 自分らしく生きる・働く supported by JICA』
坂本美雨 with CANTUSがLIVEゲストとして出演。

坂本美雨オフィシャルウェブサイト
坂本美雨オフィシャルフェイスブック
坂本美雨オフィシャルtwitter
坂本美雨オフィシャルinstagram
坂本美雨オフィシャルYouTubeチャンネル
CANTUSオフィシャルウェブサイト
haruka nakamuraオフィシャルウェブサイト

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