3月2日AL@リキッドルーム公演レポート
ALはバンドとして現在進行形で進化を遂げている アルバムリリース目前ライブを分析
4月13日に初の音源にして全13曲収録のファーストアルバム『心の中の色紙』をリリースするALが、遂に本格的なライブ活動をスタートさせた。2月29日には大阪AKASOでNabowaと対バン公演、3月2日には東京リキッドルームでPolarisと対バン公演。アルバムリリース後の4月から5月にかけては、名古屋、福岡、大阪、東京を回る初のワンマン・ツアーも予定されている。小山田壮平(Vo、G)、長澤知之(Vo、G)、藤原寛(B、Cho)、後藤大樹(Dr、Cho)の4人のメンバーで初めてステージに立ったのは2015年7月。そこから約半年間かけてアルバムを完成させた4人は、昨夏のちょっと危なっかしくも瑞々しかった「誕生の瞬間」からどれほどの進化を遂げているのか? 3月2日のリキッドルームのステージから受けた印象を書き記しておきたい。
小山田とはメンバーのオオヤユウスケ(Vo, G)が10年来の付き合いだというPolaris (サポートドラマーは長澤と同じ事務所のあらきゆうこ)の、とても人力とは思えないほどタイトなリズムと浮遊感のあるサウンドが織り成す完成度の高いステージを終えて、ステージに上がった4人。向かって左から長澤、小山田、後藤、藤原。自分は正面から見ていたのだが、そうすると奥まったドラムセットに座っている後藤も含めて全員の距離がほぼ等間隔という、あまり他のバンドでは見たことがないステージ上の配置(普通は前に立つ誰かと後ろのドラムが被る)。よく考えるまでもなく右の3人はそのまま初期andymoriなのだが、それをほとんど思い出すことがないのは、そんな新鮮な配置のせいだけでない(andymoriの時の後藤はいつも右前方に配置されたドラムセットを横向きで叩いていた)。冒頭の「HAPPY BIRTHDAY」が始まった瞬間から、もうどうしようもないほど溢れ出してくるロックンロールバンド感。「HAPPY BIRTHDAY」はALを小山田と長澤が2人でやっていた時からお約束の曲だったが、最初から曲がバンドサウンドで鳴らされることを求めていたことに気づかされる。
そんな「バンドとなったAL」にとっての至高の瞬間は、序盤の「あのウミネコ」で早くも訪れた。ギター一本が奏でる甘美な響きに、二本目のギターが優しく重なり、そこから間髪おかずにベースとドラムが最初のリズムを刻む、まるで初期ストーン・ローゼズを思わせるようなこのフォークロック調の名曲は、この4人の固い結束と、それとは裏腹のフラジャイルさのコントラストをこれ以上なくビビッドに伝えてくれた。こんな繊細な美しさを持つバンドを見るのは、本当に久しぶりだ。