メジャーデビュー1stフルアルバム『New generation』インタビュー
雨のパレード・福永浩平、バンドシーン刷新への所信表明「僕らが思いっ切りパンチを入れないと」
「クリエイティブとポップの境目を探してる」
ーー他の曲も含めて、「個人」に語りかけてるような印象を感じました。例えば、「Movement」にしても、一人一人の行動が大きな流れを作るんだっていう歌になってると思うし。
福永:その意識はあると思います。聴いてくれる人も含め、「僕らの手で一緒に時代を塗り替える」っていう意識を持って、どの曲の歌詞も書いているので。
ーー「Movement」の歌詞からは、今の若い人が感じているであろう同調圧力についても歌われているように思ったのですが、実際福永くんは今の同世代をどんな風に見ていて、どう呼びかけたいと思ったのでしょうか?
福永:僕は同世代に対して悲観的には感じてないです。例えば、音楽の話で言うと、十代のときからYouTubeで好きな音楽を選んで、吸収して、自分たちの形でアウトプットできる環境にあったので、それぞれの好きなことを真っ直ぐやってる人が多いなって思ってて。だから、これといった不満があるわけでもなく、僕らに関しては、クリエイティブとポップの境目を探しながらやってるって感じですね。
ーーむしろ、新しい世代に希望を感じている?
福永:そうですね。「New generation」っていうのは必ずしも雨のパレードだけではなく、僕らの世代で変えていこうっていう意識です。僕らが十代の頃は「何でこんなのが売れてるんだよ」って思ってて、そういう反発心はみんな持ってると思うんですよ。まあ、それぞれの世代が同じように感じてきたのかもしれないですけど、最近はアートディレクターとかでも同世代が増えてきたし、何か起きるんじゃないかって気持ちがありますね。
ーーもちろん、ひとつ前の世代に対するカウンターによって時代が動き続けているという側面はこれまでも常にあったと思うんですけど、福永くんは上の世代のどんな部分に不満を感じていたのでしょうか?
福永:音楽のことで言うと……普通に聴き難いと思うものがすごく売れてたりして、それはただ疑問でしかなかったです(笑)。別に文句があるわけじゃなくて、ただ単純に憤りですね。「なんでだよ?」っていう。
ーー影響源がドメスティックな音楽だけに完結しているものへの憤り?
福永:そういう部分はあると思います。なので、「もうそろそろ入れ替わりましょうか」っていう。
ーー僕自身2015年はバンドシーンの潮目の変化を感じたんですけど、福永くんも「変わってきた」と感じていますか? それとも、「変えないとマズイ」っていう感じ?
福永:「今移り変わろうとしてるんじゃないか」って感じですね。
ーーどういう部分でそう感じますか?
福永:うーん……それは空気感ですかね。今ってもうアイドルブームって感じでもないし、BPMの速い4つ打ちが流行ってるわけでもないし、すごい不安定だと思うんですよ。
ーー「ここからどっちに行くんだろう?」ってタイミングだよね。
福永:だからこそ、ここで僕らが思いっ切りパンチを入れないとダメかなって。
――「僕ら」って言うときに、国内の同世代のバンドへのシンパシーも含まれていますか?
福永:いや、それはないですね。好きなことを突き詰めてやってるような、いいバンドはいっぱいいると思うんですけど、好きかって言われるとわかんないです。そこら辺を意識しちゃうと「界隈感」が出ちゃうというか、視野は広く持っていたいので。
ーー逆に言うと、国内の同世代のバンドに対するライバル心はある?
福永:ライバル心はみんな常に持ってると思います。絶対負けたくないですもんね。
ーー僕からすると、音はクールなんだけど、内面は熱いっていうのが「New generation」の共通点だと思ってて。
福永:うん、それはあるかも。
ーー何でそうなんだろうね?
福永:何ででしょうね(笑)。まあでも、好みなんじゃないかなあ。たまたま僕らの世代はクールなものをかっこいいと感じる人が多いけど、内面的には昔から変わらないものが脈々と受け継がれていて、昔はそれがロックだったのかもしれない。僕らの世代は何て言っていいのか……それはまだわからないですけど(笑)。
ーーじゃあ最後に、国外も含めて、今の雨のパレードのライバルを挙げるとすれば、どんな名前が挙がりますか?
福永:そうですね……僕の耳に届いてきてる人は、すでにそれなりに知名度があって、みんなの先を行ってるような人たちだと思うので、なかなか挙げるのは難しいんですけど、目標というか、リスペクトも含めて挙げるなら、途中でも言ったAstronomyyとOceaánかなあ。単純に、一緒にライブしたいなって(笑)。
(取材・文=金子厚武/写真=下屋敷和文)
■リリース情報
アルバム『New generation』
発売:2016年3月2日
価格:¥2,800(+税)
初回限定紙ジャケット仕様
<収録楽曲>
1. epoch
2. Tokyo
3. Movement
4. Focus
5. breaking dawn
6. novi Orbis
7. new place
8. 10-9(New recording)
9. 揺らぎ巡る君の中のそれ(New recording)
10. encore
11. Noctiluca
12. Dear J&A
13. Petrichor
■ライブ情報
雨のパレード ワンマンツアー『New generation』
4月2日(土) 大阪・CONPASS
4月3日(日) 名古屋・新栄Vio
4月9日(土) 東京・渋谷 clubasia
■関連リンク
http://amenoparade.com/