太田省一『ジャニーズとテレビ史』第十二回:『NEWSと冠番組』
NEWS、いよいよ新たな冠番組実現か? 知性とアイドル性の融合が生み出すもの
このように、それぞれの長所や特技を生かした個人活動が目立つNEWSだが、現在レギュラー冠番組は放送されていない。そのあたり、気を揉んでいるファンもいるだろう。ただ、その基盤になりそうなものはすでにある。
「コヤシゲ」と呼ばれる小山と加藤の2人組は、共に大学を卒業し、キャスターと小説家ということもあって知的な部分を要求される仕事で組むことも増えている。『未来シアター』(日本テレビ系)などもそうだったが、より知性派の部分を前面に出した出演番組も増えてきた。
例えば、今年1月に第3弾が放送された『NEWSな2人』(TBSテレビ系)。第1弾と第2弾では、小山と加藤がワイドショーで話題になったブームや出来事のいまを探るために自らレポーターになり取材した。メイドブームから薬物依存、LGBTといったテーマまで、硬軟両方に対応できる2人の強みが生かされた内容だったと言えるだろう。
第3弾は、企画がリニューアルされた。「デモバラエティ」というコンセプトで、若い世代が世の中のルールや習慣などで不満を抱いていることをスタジオで訴え、それに対する解決策を小山と加藤の二人がパネラーとともに考えていくというものだ。
企画としては、かつて日本に住む外国人が日本社会のおかしいと考える点を議論して人気だった同じTBSテレビの『ここがヘンだよ日本人』の若者版を思わせる。今回、選挙権18歳引き下げの是非など難しいテーマもあったが、堅苦しくなりすぎず盛り上げながら、話の着地点を見つけ出していく二人の手際とコンビネーションの良さが目についた。
やはり今年1月に第2弾が放送になった『変ラボ』(日本テレビ系)も、同じく2人の知的キャラクターを踏まえた企画である。小山と加藤は「研究員」という設定で、「何の得にもならぬ、無駄な知識」を得るため実験に挑む。昨年7月に放送された第1弾では、小山が「オナラを集めて大爆発は起こせるのか?」、加藤は「流氷の天使 クリオネは美味しいのか?」という文字通り「何の得にもならぬ」実験テーマに取り組んだ。
このあたりは、松村邦洋が「地球温暖化を阻止するためにメタンガスを含む牛のゲップを吸い取る」企画などがいまも記憶に残る『進め!電波少年』的な日本テレビの伝統を感じさせる。そこに実験と言う知的風味が加わったかたちである。