NEWS、いよいよ新たな冠番組実現か? 知性とアイドル性の融合が生み出すもの

 注目すべきは、この第2弾では増田と手越も加わり、NEWS4人による番組になったことだ。小山と加藤は、それぞれ「巨大なハンペンの上に人は乗れるのか!?」「カラスは美味しいのか?」と前回のテイストを引き継いだ研究テーマに取り組んだ。一方、手越と増田が取り組んだのは、テイストは同じだがよりそれぞれのアイドル性を引き出すようなテーマだったと言える。

 手越は、「真の“神経衰弱”とは何なのか?」というテーマ。とにかく神経が図太いという評判の手越が、トランプの神経衰弱程度ではまったく神経が衰弱しないというので、番組考案のさまざまな難ゲームに挑戦した。その結果がどうかという興味もあったが、「量産型女子大生神経衰弱」(顔の似た女子大生の写真で神経衰弱)を実に楽しげにクリアしてしまうといういかにも「らしい」場面が見どころだった。

 また増田は、「壁ドンを凌ぐ胸キュン行為とは!?」というテーマ。恋愛に詳しい専門家が考案した「壁ドン」に代わる胸キュンな行為(「指シー(UBC)」「マフクイ」「ヅカ抱き」)を実際に女性相手に増田が実践してみるというものだ。彼の魅力でもある笑顔と真剣な表情とのギャップなど、まさにアイドルの王道パターンが盛り上がりを生んでいた。

 この番組の企画・演出である前川瞳美は、『世界の果てまでイッテQ』や『嵐にしやがれ』のスタッフにも加わっている。監修には、両番組の企画・演出である古立善之の名も見える。以前このコラムでもふれたように、古立は『嵐にしやがれ』のコンセプトとして、「意味のなさそうなことを一生懸命やってもらう」と語っていた。この『変ラボ』でも、意味のなさそうな企画に真剣に取り組むなかに、自然にNEWS4人それぞれのキャラクターが浮かび上がる演出の上手さが感じられた。

 そうしたスタッフの手腕もあり、『変ラボ』の2人出演から4人出演への変更は、十分すぎるほどの成功だったと言えるだろう。この番組で見えた知性とアイドル性の融合は、他には得難いグループの個性になりうるはずだ。その意味で、新たなレギュラー冠番組開始の機は熟しつつあると思えた今回の『変ラボ』であった。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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