ニューアルバム『ウインカー』インタビュー
特撮、メンバー全員が語るバンドの成熟「みんなで音を出せば、ちゃんと特撮の音になる」
「ものすごいロックなアルバムができた」(三柴理)
ーーご自分の曲に「中古車ディーラー」というタイトルを付けられるお気持ちは?
ARIMATSU:いや、だって毎回そうだから(笑)。
大槻:だって最初にアーリーの曲に付けたのは、「水天宮と多摩センター」だし。
ARIMATSU:「湘南チェーンソー」だったり。だからもうこの15年の付き合いで、違和感はないです(笑)。「きたっ!」ぐらいで。
NARASAKI:「ダンシングベイビーズ」よりはね。
全員:(笑)。
大槻:あれすごいよねえ。あの曲、どうかしてるよなあ。
ARIMATSU:(笑)どうかしてるんだ?
大槻:うん。なんかねえ、あの当時、僕、いちばんおかしかった頃で。大槻ケンヂが公園で、赤ちゃんとふたりで歌って踊ってるのを誰かが見てる、っていう歌で……おかしかったなあ、あの頃は(笑)。『綿いっぱいの愛を!』に入ってるから、2005年くらいなんだけど。
ーーでも、これだけみなさんがジャンルも方向性もバラバラな曲を持ってきても、「ウィンカー」というテーマで、ビシッと統一したコンセプトアルバムに仕上げられるものなんですね。
大槻:僕は……あの、「愛のプリズン」を入れようというのは最初から思ってたから。「愛のプリズン」さえ入っていれば、あとはどんだけ好きにやっても辻褄が合う、と思ったんですよ。とにかくあれは本当によくできた曲で、しかも、ほんとに大槻ケンヂの作詞人生の中で、ひとつの頂点に達したと思ってるんです。そこからまた『ウインカー』を出して、違う方向に行こうと思ったんだけど。だから、「これは絶対おもしろい!」っていう曲が1曲入ってるから。もう「ホテル・カリフォルニア」が入ってるようなもんだから。
全員:(笑)。
大槻:もう「ホテカル」はある! 「天国への階段」はもうあるから、あとはどんだけ好きにやってもいいだろうと。
三柴:あと今回のレコーディングね、RIKIJI(サポートメンバー/OBLIVION DUST、MEGA8BALL)のベースがすっごいグルーヴしてて。ほんとにいいベース弾いたなあと思って、あの人。今回そのせいもあって、ロックしてるなあと思う。聴いてて気持ちいいんですよね。ほんとにロックなアルバムになったのは、彼のおかげも大きいのかなと思います。サポートに助けられた。
ーーそうか、ジャムる時から一緒にやってたんですね。
三柴:ええ、スタジオに来てもらって。
大槻:僕より確実にスタジオにいました(笑)。
三柴:全体的にものすごいロックなアルバムになりましたね。歌謡曲みたいなことをやってんのにロックだって言ってる人が多い中、ずいぶんロックなアルバムができたなあと思って、うれしいですね。
ーーそのロック感が出ているところもそうですけども、バンドをやっていることの楽しさが、すごく伝わってくるアルバムにもなっていますよね。
ARIMATSU:うん、今回けっこう長くスタジオに……それこそ去年の夏前から入ったりしてたんで。すごく身体に染みついている感じですよね、1曲1曲が。そういう意味でも楽しかったし、思い入れもあるし。
大槻:ズバリ言って、特撮は、いい環境でレコーディングをさせてもらってると思うなあ。僕がほかでやってるインディーズのバンド……電車は、俺、歌入れ、1日か2日だったもんなあ(笑)。