西廣智一『日本ヘヴィメタル/ラウドロック今昔物語』第3回「coldrainが結実させたオリジナリティ」
coldrainは国内ラウドロックと海外メタルをどう融合させ、オリジナルな音楽を作り出したか
そんな自信作を携え、coldrainはアルバム発売前の9月下旬からBULLET FOR MY VALENTINEのヨーロッパツアーに帯同。同年11月下旬からは「THE GREATER THAN TOUR」と題したUSツアーも行なった。全62公演にわたるワールドツアーを終えた彼らは、待望の国内ツアー「VENA JAPAN TOUR 2016」を今年1月9日からスタート。私も1月15日にZepp Tokyoで行われた東京公演を観たが、とにかくすべてにおいてスケールアップしたライブパフォーマンスにただただ驚かされた。まだツアーが終わっていないのでセットリストやステージ構成など詳細は控えるが、とにかくバンドのアクションをはじめとするすべてが「外タレ」化していたのだ。これが海外で揉まれた結果か……と終始呆気にとられ、そしてすべてが終わったときには思わずニヤリとしてしまう、そんなライブだったと言えば伝わるだろうか……いや、わかりにくいか。彼らのライブを収めた映像作品は過去に2作品(2011年発売の『THREE DAYS OF ADRENALINE』と2014年発売の『EVOLVE』)リリースされているが、3rdフルアルバム『The Revelation』発表後の集大成的ライブを収めた『EVOLVE』を超える、メタル/ラウドロックファン以外にも存分にアピールする強烈なライブが繰り広げられているのだ。coldrainのライブはこれまでも素晴らしいものばかりだったし、バンドだけではなく観客と一緒に作り上げるあの激アツな空間は味わった者でなければ知り得ない独特の魅力がある。そういう意味でも、『VENA』を発表して海外のシーンで戦ってきたこのタイミングで彼らのライブに一度触れてみてほしい。
coldrainは3月から再びアメリカでツアーを行う(カナダのポストハードコアバンドSILVERSTEINの全米ツアーに帯同)。帰国後の4月に『MONSTER ENERGY OUTBURN TOUR 2016』にて、過去何度となく海外で共演してきた盟友BULLET FOR MY VALENTINEと日本で対バンツアーを行う。Masatoは先の東京公演で「BULLET FOR MY VALENTINEのメンバーに日本のファンがいかにすごいかを何度も伝えてきた。それを証明するために、ぜひこのツアーに足を運んで、みんなの本気を見せてほしい」というようなことを口にしている。coldrainが結実させたオリジナルな音楽性、そして観客と一緒に作り上げる彼らならではのライブスタイルを生で体感できるだけでなく、BULLET FOR MY VALENTINEのような海外の第一線で活躍するメタルバンドといかに同じレベルで活動できているかが確認できるという意味でも、絶好の機会になりそうだ。
最後に、Zepp Tokyoでのワンマンライブを見終えた後に感じたことをもうひとつ記しておきたい。coldrainにとって、もはやZeppクラスの会場は小さすぎる、と。あの日のライブを観ながら、大会場で圧巻のパフォーマンスを繰り広げるバンドの姿が目に浮かんだのだから……BULLET FOR MY VALENTINEやBRING ME THE HORIZONがそうであったように、coldrainがアリーナクラスで単独公演を行ったり、大型フェスのメインアクトに選出される日も、そう遠くないはずだ。
■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。