モノブライト、8年かけて名曲を完成させるーー兵庫慎司が充実の新体制ライブをレポート

モノブライトが名曲を完成させた

 1月17日渋谷クラブクアトロ、モノブライトが名曲を生んだことを知った。

 2015年6月のツアーを最後にドラマー瀧谷翼が脱退して以降、半年の休止期間を経て12月11日リリースの配信シングル「冬、今日、タワー」と、12月28日出演のCOUNTDOWN JAPAN 15/16のステージから再始動したモノブライト。

 そのCOUNTDOWN JAPANで見せた、メンバー3人にドラムKENSUKE. A (SISTER JET)、キーボード村上奈津子(WONDERVER)、カルメラのホーン隊3名(トランペット小林洋介、アルトサックス辻本美博、トロンボーンたなせゆうや)が加わった8人体制によるライブと新曲を改めてお披露目する「モノブライト LIVE 2016 bright eyes」が、1月11日に梅田クラブクアトロで、そして1月17日に渋谷クラブクアトロで行われた。

160125_mo_2.jpeg

 

 以下、後者、渋谷クラブクアトロのレビューのようなもの。

 COUNTDOWN JAPANの時は最初から8人編成だったが、今回はまずホーン隊を除く5人でオンステージ。いきなり聴いたことのない曲で、つまりCOUNTDOWN JAPANでもやっていなかった新曲でスタート。2曲やってMCで再始動のあいさつをし、ホーン隊が加わって「春夏秋冬コーナーです」(桃野陽介/Vo,g)と「旅立ちと少年2」「夏メロマンティック」「雨にうたえば」「冬、今日、タワー」と四季を歌った4曲をプレイ。

 途中でさらに新曲を2曲はさみ、後半はホーンズがフロントに出て吹きまくったりしつつ「踊る脳」「JOYJOYエクスペリエンス」のライブアンセム連打でアゲたあと、2月12日に配信リリースする「ビューティフルモーニング(Wake Up!)」で本編をシメる。

 さらにアンコールでは、「あの透明感と少年」「アナタMAGIC」をサービスした。

 ざっと書くと、そのようなステージだった。COUNTDOWN JAPANの時は、もともとダンス・ミュージック要素のがっちり入ったロックをやっていたバンドだし、ホーン入れてさらにそっち方向に行くのかなと思ったが、ワンマンの尺で観ると、簡単にそう言い切れるような変化でもないことがわかった。「今までやったことのないことをやろうとしてきた」「これからも、モノブライトの路線はこれです、ということはやりません。ずっと新しいことをやっていきたいと思っています」という桃野のMCに「もともとそういうバンドだよな」と納得した。「普段はゆがんでるかもしれないけど、音楽には嘘つけなくないですか?」という言葉には「いいこと言うなあ」とグッときたりもした。

 モノブライトの曲にしては意外なコード進行とメロディ展開でやたら新鮮だった1曲目「HELLO」、「本当はもっと 今日より明日が楽しいはずだろ」というラインが印象に残った、ギター・リフとホーンのからみがローリング・ストーンズ→(一時期の)プライマル・スクリーム・マナーな「MOTHER」。と、ここで初めて聴いた新曲も、とてもよかった。

 が、もう1曲あった、ここで初めて聴いた新曲が、さらに激しく飛び抜けていたので、少し書いておきたい。

 7曲目にプレイされた「こころ」という曲。上京して間もない2007年に書いた曲で、バンドでアレンジしようとするとどうもしっくりこない、保留にする、次のアルバムでまたアレンジしようとする、やはりしっくりこなくて保留……ということを年1回ペースで続けてきて、その間にメンバーが入ったりやめたりいろいろあったけど、この新体制になってもう一度やってみたら、形にできた──歌う前に桃野陽介は、そのような説明をしたのだが、この曲がヤバかった。

 歌詞、「真実になって ☓☓になった」というくり返しで、☓☓の部分が変わりながら進んでいく構成。つまり、「真実とはなんぞや」ということが歌のテーマになっているわけだが、身もフタもない現実や身もフタもない事実や身もフタもない人の心や身もフタもない生きざまや──要は、他者と自分の「そこ開けちゃダメ!」っていうところを片っ端から開けていく歌なのだ。桃野、歌う前に「素直な気持ちでパッと聴いたら傷つく人もいると思う」みたいなことを言っていたが、確かにそれレベルのインパクト。

 なんでこんな曲が書けたのか、ということはあまり考えなかったし、考えてもわからないだろうが、ただ、書いたはいいがバンドで形にできないまま8年が経っていたすばらしい曲を、今はこうして形にできた、ということは、今のモノブライトはいい状態なんだろう、ほんとにいろいろ紆余曲折ありつつ激しい変化もありつつ進んできたバンドだけど、今いるこの場所・このスタンスは間違っていないんだろう、ということはわかった。

160125_mo_3.jpeg

 

 アンコールでは、「ビューティフルモーニング(Wake Up!)」の配信シングルリリース告知のあと、6月に札幌・大阪・東京の3本のツアーを行うことが発表された。そのツアーの前かあとかはわからないが、これだけ新曲あるんだからアルバムも間近なのだと思う。

 期待して待ちたい、というか、とりあえず「こころ」の完成音源が早く手元にほしい。何度も聴きたいので。

(文=兵庫慎司/撮影=古渓一道)

■配信リリース情報
『冬、今日、タワー』
発売中
iTunes Store販売価格:¥250

『ビューティフルモーニング(Wake Up!)』
2016年2月12日(金)リリース
※iTunes他、音楽配信サイト各種にて配信予定

■ライブ情報
「Bright Ground Music ~B.G.M~ Tour」
6月09日(木) 札幌 BESSIE HALL
6月15日(水) 梅田 CLUB QUATTRO
6月17日(金) 恵比寿 LIQUID ROOM

■関連リンク
オフィシャルサイト
http://www.monobright.jp/
オフィシャルYouTube CHANNNEL
https://www.youtube.com/channel/UC0hpHTHCkLsmCiGdjIXo1sQ
オフィシャルTwitter
https://twitter.com/monobright_mo
オフィシャルFacebook
https://www.facebook.com/monobright.mo

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる