山下達郎、大貫妙子、佐野元春らも厚い信頼 超売れっ子ギタリスト・佐橋佳幸の功績を振り返る

 佐橋佳幸という人は、もともとは〈UGUISS〉というアメリカン・ロック・テイストのバンドで、1983年にデビューしました。普通だったら、いちバンドマンとして消えていってもおかしくなかったのですが、エレクトリックもアコースティックも駆使することができる職人的な演奏力とアイデアを買われ、さまざまなセッションに呼ばれることになります。岡村靖幸、渡辺美里、大江千里といった80年代から90年代に一時代を築いたシンガー・ソングライターの陰には、かなりの確率で彼の存在があります。また、槇原敬之の「もう恋なんてしない」や氷室京介の「魂を抱いてくれ」といったビッグヒットと定期的に関わっているのもさすが。いずれも、ギターが全面に出ているわけではないのですが、効果的にマジカルなフレーズを散りばめていくのです。

 職人技のギタリストということで、大貫妙子、竹内まりや、佐野元春、鈴木雅之といったベテラン勢から指名されることが多いのは当然ですが、その安心感からか、スキマスイッチやMAMALAID RAGといった若手のステップアップのために起用されることもしばしば。単なるギタリストではなく、プロデューサー、アレンジャー、ソングライターなどとしても売れっ子なわけです。しかも、全面的にバックアップした松たか子に至っては、彼女のハートまで射抜いてしまうなど、公私ともに充実したうらやましい存在でもあるのです。

 先頃リリースされた『佐橋佳幸の仕事1983-2015 Time Passes On』という3枚組のコンピレーション・アルバムには、そんな彼の仕事ぶりがたっぷりと詰まっています。これを聴けば、気づかないうちに彼のプレイを何度も耳にしていたんだなあと、改めて実感するはず。そしてこれからも数々のヒット曲や名曲に華を添え、日本を代表するギタリストとして、音楽シーンの最前線を突っ走っていくことでしょう。

■栗本 斉
旅&音楽ライターとして活躍するかたわら、選曲家やDJ、ビルボードライブのブッキング・プランナーとしても活躍。著書に『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著に『Light Mellow 和モノ Special -more 160 item-』(ラトルズ)がある。

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