WaTのふたりは「解散」をこう語ったーー10周年記念ライブ詳細レポート
最後に披露した新曲(タイトル未定)は、そのWaTの今とこれまでとこれからを凝縮した曲となっていた。その歌詞に耳を寄せて、「これからも応援するよ」、「ありがとう」という声を上げた観客からは、複雑な気持ちを抱えながらもふたりを明るく送り出そうという気丈なファン心もうかがえた。
アンコールでは、短い時間にもたくさんの曲を聴いてほしいと、初めての試みである7曲のメドレーを披露した。曲中では「まさかこのなかに、『TOKIMEKI☆DooBeeDoo』が入ると思わなかったでしょ?」(ウエンツ)という選曲もあり、バラエティに富んだ内容になった。ふたりで「コーヒーで胃が痛くなるくらい、ルノアールでめちゃくちゃ考えた」というこのパート。解散発表後のアンコールということで、いつもよりもかなり力を必要とする状況だったと思うが、ふたりでアコースティック・ギターをかき鳴らしたり、あるいはハンドマイクでステージ上を闊歩しながら歌ったり、小池がハープを奏でたりと、最後まで華やかなメドレーとなった。そして最後に、「あの日」で締めくくり、名残惜しそうにステージを後にした今回のライブ。2016年2月10日に今回披露した新曲を含めたアルバム『卒業BEST』をリリースし、翌日11日のイベントでWaTとしての活動を終了するふたり。ファンにとっては複雑な思いもあるかもしれないが、今回のステージは、デビューから10年分の笑顔と涙が入り混じった、とても大事なライブとなった。
終演後の取材に応えたふたりは、「前の晩は、ライブの曲順を振り返りながら、今日のステージがどういう景色なるのか、このステージに立った時にどういう感情になるのか、いろいろ思い返していたら眠れなくなってしまった」、「解散という話をした後でのアンコールでも、いい空気を作ってくれるファンのみなさんには感謝しています」とウエンツが語り、小池は「最初の、お帰りという言葉が突き刺さった」と言いながらも、「急な話にも関わらず、ふたりの話を最後まで聴いてくれたことがありがたい。これからのそれぞれの活動でもまた、思いを返していきたい」と感謝の言葉を伝えていた。
(文=吉羽さおり/写真=堀田芳香)