ガールズポップシーンの流れを変える? 異色のシンガーソングライター・瀧川ありさの可能性

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 “ギタ女(じょ)ブーム”を筆頭に、近年再び盛り返しつつあるガールポップシーン。そこにまた1人、個性的なニューカマーがデビューを果たす。それが今回紹介する瀧川ありさという女性シンガーソングライターだ。

 すでに彼女の歌声は今年1月からお茶の間に流れているのはご存知だろうか。彼女が歌う「Season」は昨年10月スタートのTBS系アニメ「七つの大罪」の新エンディングテーマとしてオンエアされ、早くから話題を集めている。無名の新人がデビュー前から人気アニメのテーマソングに大抜擢されたことは、年末年始にかけてメディアで話題となったが、興味深いのはその彼女の素性だろう。

シンガーソングライターとしての特異性

 彼女をスカウトしたのが、ユニコーンやCHEMISTRY、ゴスペラーズ、西野カナなどといった人気アーティストを世に送り出してきた西岡明芳氏。瀧川が2009年、いちバンドのボーカリストとして「閃光ライオット 2009」に参加した際、西岡氏は瀧川の歌声に出会っており、「歌声と詞・曲のセンス、シンガーソングライターとしてのずば抜けた才能を感じた」と絶賛したという。確かにその知的そうで端正なルックスからは想像できない、力強くて言葉の1つひとつがしっかり耳に飛び込んでくる歌声からは、今後のガールポップシーンの流れを変えてしまうような大きな可能性すら感じられる。

 瀧川は3月4日にリリースされるデビューシングル『Season』に収録される3曲のオリジナル曲すべての作詞作曲を手掛けている(表題曲のみ、渡辺拓也との共作)。楽曲はどれもロック色の強いものばかりだが、3曲すべてに共通するのはどこかヒンヤリとした質感。例えば昨今の“ギタ女”の流れとは一線を画する色合いが感じられる。しかも現時点でかなり完成度の高い楽曲、音楽性を提示していることから、アーティストとしての成長過程を活動の中で見せていく雰囲気すらある“ギタ女”シーンとは完全に別モノと呼べるのかもしれない。そういう意味では、同じレーベルに所属し、アニメタイアップが付くことが多い藍井エイルや春奈るなにも通ずるものがあるとも言える。

 また彼女の書く歌詞からも、近年活躍する女性シンガーソングライターとはひと味違った色合いが感じられる。同年代の女性に対する応援歌とも、聴き手のそばに寄り添って「君は間違ってないよ」と語りかけるようなものとも違う、ある種独白的な詞世界は、現在の若手シンガーソングライターよりもひと世代上のアーティストとの共通点すら見え隠れする。だからといって聴き手を突き放しているわけではなく、描かれた詞世界が1つの物語として完成されていることから、リスナーは作品として受け入れ、じっくり楽しむことができる。タイプとしては王道かつオールドスタイルかもしれないが、流行りに乗った表現方法を取り入れていないぶん、今後長きにわたり愛聴できる作品となることだろう。

瀧川ありさ「Season」Music Video(Short Ver.)

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