タッキー&翼、“夫婦のような信頼関係”が生んだ充実のエンタメ性 新アルバムをじっくり聴く

 そして、ラストは滝翼のふたりでしっとりと歌う「Vertigo」で締めくくられる。数々のアーティストに楽曲を提供してきた大御所の松井五郎と来生たかおが手がけた。改めてふたりの歌唱力について感激するほど、じっくりと歌を味わうことのできる名曲だ。舞台のラストを彷彿とさせるようなエンディングは、さすが滝翼のアルバムといえる。

 まるで、コンサートを見終わったかのような充実感を得られる一枚。アーティストの個性を見事に吸収し、さらなる進化を遂げたように見える。タッキー&翼を今から知るという人に、直球でオススメしたい作品だ。

 今年はジャニーズJr.のバックなしで、ふたりだけのツアーを大成功に納め、さらに絆を深めた滝翼。それぞれソロ活動では、舞台の座長となってJr.たちを引っ張ってきているからこそ、“ここらへんでふたりでのんびりと”という夫婦のような空気感が漂う。「昼間ふたりでぶらぶら散歩したことなかった」と滝沢がラジオで振り返るほど、忙しく走り抜けてきたふたり。ふたりともストイックに自分自身を磨き、お互いに信頼しているからこそ、進化を続ける滝翼のエンターテインメント。12月5日には、4回目となる石巻での復興支援ライブも行ない、被災地に笑顔を届けてきた。次は、年始のコンサートが待っている。ライブに足を運べない人は、まずこのアルバムを聞き、滝翼が作り出す音楽の魅力を味わってみてほしい。

(文=佐藤結衣)

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