柴 那典の新譜キュレーション 第1回
ザ・ウィークエンド、ラナ・デル・レイ、ミゲル……USチャートを席巻する「ダーク&メロウ」な5枚
そして「ダーク&メロウ」な傑作と言えば、全米R&Bチャート1位を獲得し、国内盤が先日リリースされたばかりのミゲルのニューアルバム『Wildheart』。そもそも彼はザ・ウィークエンドやフランク・オーシャンと並んで昨今のオルタナティブなR&Bシーンを支えてきたシンガーだし、新作のジャケットも彼自身のルックスもかなりコアな「ブラック・ミュージックっぽさ」を感じさせるものだけれど、むしろ新作はロック・リスナーに届くべき一枚。というのも、かなりロックへのアプローチが色濃い一枚になっているのである。なにしろアルバムのラストを飾る「face the sun」でフィーチャーしているのはレニー・クラヴィッツだ。歪んだギターリフをフィーチャーし、グラム・ロック的な妖艶さすら感じさせる一曲になっている。また「Leaves」はスマッシング・パンプキンズの名曲「1979」のリフを用いた(クレジットにはビリー・コーガンの名もある)切ない叙情性を持つ一曲。個人的にはこの2曲が大好き。
続いては、若干20歳ながらデビューアルバムの完成度の高さに各方面が騒然としているホールジー。彼女も「ダーク&メロウ」な世界観を持った歌姫だ。ニュージャージー出身、黒人の父と白人の母の間に生まれた青い髪のポップアイコン。デビュー作『BADLANDS』は、「荒野」というタイトルどおり、ゴツゴツとした怒りの感情が込められたものになっている。ザ・ウィークエンドに通じる影のあるソウルネスと、パンク・ロックな直情型のエネルギーが交じり合ったような一枚。
ちなみにホールジーはファッション・アイコンとして同世代の女子ファンも多く、かなりの親日家でもあるという。というわけで、アリアナ・グランデと同じような形で日本でもブレイクしそう。デビュー曲「Ghost」のMVは東京を舞台にしたストーリー。