ウルフルズ、復活後に見えた“バンドの原点”を語る「暑苦しくて、なんか明るい、それがウルフルズ」

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「俺が最初に掲げてた最初のコンセプトは、『完全無欠のパーティー・ソング』」(トータス松本)

ーー『ボンツビワイワイ』はどのようにアイディアがわいて、作り始めたんでしょうか。

トータス松本:これはね、復活作の『ONE MIND』っていう力作があって、そのツアーに出て、そのツアーの中で……『ONE MIND』の曲も演奏したけど、やっぱり今回は復活を観てもらいたいっていうことで、わりと古い曲もいっぱい持って回って、毎会場「こことここの曲は取り替える」っていうポイントを決めて、たくさん候補曲を持って、すごいシャッフルしながら回ったんよ。で、“ワルツ!”とかああいう古い曲は、久々にやるとすごいウケるし、ウケるから次もやろうって話になるし。で、打ち上げなんかでも「なんやろな、あの曲は」っていう話になったりね。事務所の社長が「あの曲、ワシが初めて観た時もうやっとったがな。まさか20年経ってまた演奏して、それがお客さんがあんな盛り上がるような曲になるなんて、楽曲いうのは偉いもんやのお」みたいなことを言ってたわけ。「ほんまそやなあ」と。20年前になんにも考えんと作った曲よ? その夜のファンダンゴ、磔磔が盛り上がればええ、そういう感じで作った曲で、コード進行もパクったようなもんやし歌詞もええかげんなことしか歌うてないのに、お客さん喜んでピョンピョン跳ねてて、演奏してるこっちもめっちゃ楽しい。やっぱり音楽の力ってすごいって思って、次に出す2015年のウルフルズの曲は、そういう曲にしてやろうと思ってたんよ、ツアーの途中から。
いいこと言うてるとか、泣けるメロディとか、そういうのはほかの若手がいっぱいやってくれてるから、もういいと。ウルフルズはとにかくもう「はい、おもろい!」って曲。その日のその夜がボカーンて盛り上がれば、みんなで歌って踊れればいい! そういう曲を書く! ツアーの後半からだんだんそういう気持ちになった。パーティー・ソングやろ! 屁理屈いらんやろ! って。で、ツアーの終盤、12月は飛び飛びの日程やったから。週末だけライブで平日は空いてんのよ。その平日に家でデモテープ作ったりして、「あ、こういう感じでいけんちゃうかな」って思ったのが“ボンツビワイワイ”で。「来年はこんなんやりたいんやけど」ってメンバーにメールで送ったんよ。そしたらメンバーもスタッフも満場一致で、「ああ、やっぱり意識は共有できてんなあ」って思って。

サンコンJr.:よくこんな曲が書けたなと思って。なかなか今のキャリアでは、こっちに行きづらいじゃないですか? ほんとにツアーのムードがよかったんやなと思って。だって、ツアー終わってからじゃないのよ。それが俺はすごいうれしかった。「うわ、ツアー中に新曲のデモが来たよ!みたいな。それはみんなモチベーション上がるよね、どう考えても。

トータス松本:俺が最初に掲げてたコンセプトは、「完全無欠のパーティー・ソング」っていう感じ。それはメールに書いた。とにかくそういう曲を作り続けてやると思って。最初はアルバムじゃなくて、ミニアルバムとか3〜4曲入りとかの予定やったんよ。そしたら“ボンツビワイワイ”ができてから、わりとサクサク曲ができんのよ。あれよあれよという間に10曲ぐらい貯まって、「じゃあアルバムにしたら?」みたいな流れになって。

「“ガッツだぜ!!”って、歌詞でなんにも言ってないからね」(トータス松本)

ーー『ONE MIND』リリースの時に、セカンドアルバムの『すっとばす』を目指したとおっしゃってたんですけども。でもこの『ボンツビワイワイ』の方がーー。

トータス松本:そうやねえ、こっちのほうが世界は『すっとばす』に近いね。いや、『ONE MIND』も、俺はあそこまで力作に育てるつもりは、もしかしたらなかってんけど、結果的にはすごい力作になって。なんかこう、エネルギーがグワーッて詰まってるから。まあ4年半ぶりやからね、その間のエネルギーを詰め込む必要があったんやろね。で、次はほんとにもう……やっぱりイメージは“ワルツ!”なんやけど、あの曲を演奏してる時の俺らとお客の感じを共有できるアルバムを作れたら最高やな、って思ったんよね。

ーーすごくロックンロールでファンクでソウルなアルバムですよね。

トータス松本:あ、そう、ひとつあったんは、ソウルの方向には行こうとしたんよね。自分の歌い方の持ち味として、特に大したこと言ってなくても、自分の歌い方でソウルフルに歌えば充分成立するやろう、それに伴う演奏は極力シンプルでいい、っていうか。単純なロックンロールのバンド形態で、ソウルの歌がのっかるっていう。だから、もともとのウルフルズよね。それは目指したね。

ーー初期のウルフルズですよね。

トータス松本:そう。だから『ONE MIND』の時もそやってんけど、俺よく『すっとばす』を聴いたんよね。あの瑞々しさはなんや?って。でも、俺だけやなくて、みんながそっちに向かってたっていうのは、それぞれが4年半の間に自分に向き合った結果やと思う。

ウルフルケイスケ:4年半っていう休止の期間があって、再始動して、ライブの時の反応とか、その時の自分らの気持ちとかを経験して……「ウルフルズはこれ!」って感じちゃうかな、このアルバムは。個人個人はもっといろんなことができるかもしらんけど、4人集まったウルフルズはこれですっていう感じやと思う。

トータス松本:……あ、そうや、俺、一個最近めっちゃ思うのは、ウルフルズってなんかええこと言ってるような人たちって思ってる奴、多いんちゃうかと思うけど、べつになんにも言ってないからね、歌詞で。たとえば“ガッツだぜ!!”を例にすればわかるんやけど、あの曲、歌詞だけ見たら何も言ってないよ? 「ガッツだぜ!!」って言葉が“That’s the way”の空耳なだけで、歌詞ではなんも言ってない。せやのに、勝手にみんなの中で「あれ聴くと元気になるんよね!」みたいになってるのは、あの曲自体が持ってるただの元気なエネルギーだけよ? 歌詞に励まされてるんじゃなくて、あの曲のエネルギーがポジティブなだけなんよ。で、それは俺らのエネルギーなんよ。だからなんも言ってなくても、俺らのエネルギーが楽曲にうまい具合に封じ込められたら、それは元気な曲になるっていうか。ウルフルズっていうのはもとからそういうバンドで、その時おもろいと思った語呂合わせを歌詞にして、ソウルフルで、なりきって歌ってる、で、暑苦しくて、なんか明るい、ポップセンスを持っている、そういう存在やなって。サンコンやないけど、俺も客観的に見れるようになったんかもしれへんね、ウルフルズを。

(取材・文=兵庫慎司)

■リリース情報
『ボンツビワイワイ』
発売:2015年9月9日
価格:¥2,700(税抜)
【収録曲】
01. ボンツビワイワイ
02. ロッキン50肩ブギウギックリ腰
03. チャリダー
04. クラッター
05. チークタイム
06. スポーティパーティ
07. テクテク
08. ステキだね
09. 愛すれば
10. ウルフルシャッフル
※01.映画『探検隊の栄光』主題歌
※02.テレビ東京「僕らプレイボーイズ 熟年探偵社」主題歌
※03.NHK BS1「チャリダー★」テーマソング
※06.ASICS「トレーニングウェア」キャンペーンソング
※07.テレビ朝日「モーニングバード」テーマ曲

■ライブ情報
「ウルフルズ ツアー2015 ボンツビアツアツ ~supported by ASICS」
9月12日(土) 群馬・高崎 club FLEEZ
9月15日(火) 秋田 クラブ スウィンドル
9月18日(金) 鹿児島キャパルボホール
9月20日(日) 熊本DRUM Be-9
9月24日(木) 東京・恵比寿LIQUID ROOM
9月25日(金) 東京・恵比寿LIQUID ROOM
9月27日(日) 愛媛・松山W studio RED
10月2日(金) 北海道・小樽GOLD STONE
10月4日(日) 北海道・帯広メガストーン
10月10日(土) 沖縄音市場
10月15日(木) 静岡・浜松窓枠
10月17日(土) 広島CLUB QUATTRO
10月20日(火) 富山MAIRO
10月22日(木) 大阪・なんばHatch
10月25日(日) 京都磔磔

「ウルフルズ ツアー2015 ボンツビカイカン」
11月11日(水) 東京・ルネこだいら
11月13日(金) 岡山市民会館
11月15日(日) 山口市民会館
11月21日(土) 滋賀・ひこね市文化プラザ
11月23日(月・祝) なら100年会館
11月26日(木) 大阪・フェスティバルホール
11月29日(日) 神奈川・厚木市文化会館
12月1日(火) 新潟・南魚沼市民会館
12月4日(金) 宮崎・メディキット県民文化センター
12月6日(日) 福岡サンパレス ホテル&ホール
12月9日(水) 三重・尾鷲市民文化会館せぎやまホール
12月11日(金) 愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール
12月13日(日) 福井 フェニックス・プラザ
12月18日(金) 香川 アルファあなぶきホール・大ホール
12月20日(日) 高知県立県民文化ホール・オレンジホール
12月23日(水・祝) 岩手・盛岡市民文化ホール
12月25日(金) 青森・リンクモア平安閣市民ホール(青森市民ホール)
12月27日(日) 北海道・わくわくホリデーホール(札幌市民ホール)

「ウルフルズ ツアー2016 ボンツビデカデカ」
1月23日(土) 神戸ワールド記念ホール
1月27日(水) 日本武道館

http://www.ulfuls.com/

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