乃木坂46『太陽ノック』は売れるべくして売れた AKB48代表曲に通じる”ヒットの法則”とは?

 そして、この「太陽ノック」とAKB48「ヘビーローテーション」を比較すると、共通するいくつかの「ヒットの仕掛け」を見出すことができる。

 一つ目は、サビ頭のメロディの動き方。「ヘビーローテーション」の「♪I Want You〜」も、「太陽ノック」の「♪太陽ノック〜」も、サビ前の小節から始まってサビの1拍目に向かっていく「弱起(アウフタクト)」のメロディが使われ、それがサビ内で何度も繰り返されれている。

 もう一つは、サビで歌われる言葉の母音。「ヘビーローテーション」の「I Want You〜」「I Need You」では繰り返し「あ」が用いられ、「太陽ノック」でも「太陽ノック」「誘っているよ」「何か始める」「熱くなれる季節に」と、「た」「さ」「な」「あ」というア行の言葉が多用されている。ア行の母音は、口を大きく広げて発声するゆえに、開放的な言葉の響きになる。それゆえ、こうした明るい曲調に載せてア行の母音を用いた歌詞を歌うというのは、AKB48だけでなく数々のJ-POPのヒット曲に共通する一つの法則となっている。

 ほかにも、BPM160〜170代のアップテンポな曲調、メジャーコードのギターリフなど、サウンド面での共通点も多い。

 AKB48の代表曲の一つとなった「ヘビーローテーション」と同じく、やはり乃木坂46の代表曲の一つになるべく歌詞にもメロディにヒットの仕掛けを惜しげもなく使ったのが「太陽ノック」という曲だ。

 売れるべくして売れた、ということなのだと思う。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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