アカシック『DANGEROUS くノ一』リリース 特別企画

アカシック・理姫、クリス松村に真剣相談「たぶん、二重人格みたいな感じだと思います」

「つまり、J-POP全体が幼くなってるのよ」(クリス松村)

 

理姫:でも、ホントに好きですね。いまのアイドルよりも、あの頃のアイドルの映像を見てるほうが楽しい。

クリス松村:どんなところに魅力を感じてるの? 今後の理姫さんにとっても重要なポイントになるかもしれないわよ。

理姫:そうですね……。ただ一生懸命に歌って踊るとか、若さだけではなくて、実力がすごいじゃないですか。

クリス松村:そうね。いまのアイドルは大勢のグループだけど、あの頃のアイドルはひとりでしっかり個性を出してたから。もうひとつポイントがあるんだけど、理姫さんは大人になりたくないタイプ? それとも早く大人になりたいほう?

理姫:大人になりたいです。35歳くらいがいいなって。

クリス松村:それが理姫さんの大人のイメージなのね。でもさ、ジュディ・オングが「魅せられて」を歌ったのは20代のときなの。(山口)百恵さんなんて21歳で引退してるんだから。

理姫:その映像も見ましたー。

クリス松村:つまり、J-POP全体が幼くなってるのよ。だから、あなたがやりたい世界を表現するためには、だいぶ遠くまで旅をしなくちゃダメかもね。

理姫:なるほど……。自分の人生を考えたときに、バンドがずっとついてくるとは思ってないんですよね。

クリス松村:え、そうなの?!

理姫:これはたぶんメンバー全員が思ってるんですけど、一生できるバンドじゃないと思うんですよ。「3年くらいやりたいことをやって、バッとやめる」みたいな話もしてたし。

クリス松村:困った対談になっちゃったわね(笑)。でも、昔から良いバンドっていうのは、それくらいの情熱でやってたと思いますよ。そう考えれば、アカシックの姿勢はすごくいいと思う。長く続ければいいってもんでもないしね。そうなると、やっぱりやりたいことをやるべきね。「CGギャル」みたいなロックンロールもいいと思うけど、ああいう感じの曲って、いますごく多いじゃない? 

理姫:そうですね。

クリス松村:そこから抜きん出るためにはどうしたらいいかって考えると、やっぱりフロントマンが魅力的であることが大事だと思うんですよね。私としては、理姫さんの個性、声を活かすのがいちばんいいと思う。いまのあなたの雰囲気、いまのあなたの声というのはいまだけのものだから、自分がやりたいことをやったほうがいいわよ。

理姫:そういうことはたまに考えますね。一か八か、自分のやりたいことをバシッと出したほうがいいんじゃないかって。

クリス松村:可愛く主張すれば大丈夫じゃない? でも、いまは厳しいからね……。ちなみに理姫さん自身は、将来的にどうしていきたいと思ってるの?

理姫:私は……幸せな結婚。

クリス松村:はっ? 結婚?!

理姫:結婚はしたいですねー。

クリス松村:でもね、あなた。結婚するとしたら、自主制作でも音楽を続けられるくらいの財力を持っている人じゃないとダメよ。

理:あ、素敵!

クリス松村:当たり前じゃない! 「レコード会社が出してくれなくても、俺が金を出してやるから、好きなようにやれよ」って言える男じゃないと。

理姫:かっこいいー。

クリス松村:恋愛と結婚は別だからね。妄想じゃなくて、そういう主張をぜんぶ歌詞にして出しちゃったら? それこそがアーティストの魅力なんだから。

理姫:それを私がやるとけっこう暗くなると思いますよ。

クリス松村:いいじゃない。浅川マキさんみたいなアーティストだっているんだから。そう考えると可能性は無限ね。

理姫:ありがとうございます。

クリス松村:歌詞はすごく大事なんだけど、いまの若い人たちって、言葉を理解できない子も多いじゃない? 松本隆さんの歌詞だって「意味がわからない」って言い出したり。

理姫:わかります。それは私もすごくイヤ。

クリス松村:残念というか……もったいないでしょ? 松本さんの歌詞を読んで「何で好きなのに別れるのか、意味がわからない」とか……。もちろんそれは一例だけど、そういう人たちも相手にしなくちゃいけないわけだから。

理姫:いやーそこには寄り添えないですね。

クリス松村:じゃあさ、逆に阿久悠さんくらい難しい歌詞を目指してみたら? 私なんか「この歌詞って、どういう意味なんだろう?」って何十年も考えたりしてるんだから。

理姫:それも昭和歌謡の魅力のひとつですよね。何十年も聴き続けて、それでもわからないところがある歌詞って、すごいと思うし。いまって、歌詞を読んだりすることも少ないと思うんですよ。それも切ないんですよね。

クリス松村:あら、けっこうわかってるじゃない。古風なところがあるんでしょうね、きっと。

理姫:そうなんですよー。

クリス松村:(笑)。でも、アカシックにとって、いまはすごく重要な時期ですよね。『DANGEROUS くノ一』はいろんな可能性を見せたアルバムだから、次がどうなるのか楽しみです。

理姫:がんばります! 今日はすごく勉強になりました。何だか占いしてもらったみたい(笑)。

(取材・文=森朋之/写真=竹内洋平)

■リリース情報
『DANGEROUS くノ一』
発売:6月3日(水)
価格:¥1,800(税抜)

<収録内容>
1.CGギャル
2.サイノロジック
3.香港ママ
4.溺愛
5.ベイビーミソカツ
6.真夜中のクローンラベル
7.女
8.オールドミス
9.さめざめ

アカシックオフィシャルサイト

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