タワレコ主催イベント『Bowline』が目指す“繋がり”とは?「なかった線が見えてシーンになっていく」

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左から、池谷航氏、大幡英俊氏。

 タワーレコードが主催するライブイベント『Bowline』が、9月26日・9月27日に幕張メッセで、10月12日にZeppなんば大阪で開催される。

 毎回一組のアーティストが“キュレーター”となり、ラインナップの選定やイベント企画も含めてタワーレコードと共同と作り上げていくのが、この『Bowline』の最大の特徴。9月26日はDragon Ash、27日はクリープハイプ、10月12日はHEY-SMITHが、それぞれキュレーターをつとめる。

 怒髪天・増子直純、10-FEET・TAKUMA、G-FREAK FACTORY・茂木洋晃の三名に語ってもらった前回の鼎談でもテーマになったように、昨今では様々なフェスが乱立し、アーティスト自身がフェスを開催することも増えてきた(参考:怒髪天・増子 × 10-FEET・TAKUMA × G-FREAK FACTORY・茂木、これからのフェス文化を語る)。そんな中『Bowline』の狙いはどこにあるのか。タワーレコード株式会社メディア&ライブ事業部の池谷航氏、大幡英俊氏に話を聞いた。(柴 那典)

「音楽の作り手が主役で、そこをサポートして仲介しているのが僕らタワーレコード」(大幡)

――そもそも『Bowline』というイベントが始まったきっかけはどういうところにあったんでしょう?

大幡:僕らが『Bowline』を始めたのは2013年のことですが、タワーレコードのライブ事業自体はそれ以前の2010年から始まっているんです。タワーレコードは企業理念として「The Best Place to Find Music=音楽と出会う最良の場所」をすべてのお客様に提供するというミッションがあり、その中でライブを通しても「音楽と出会う場」を提供したいというのが、そもそもの始まりでした。

――タワーレコードはここ数年CD販売以外の事業も多く手掛けていますよね。

池谷:たとえば渋谷店が3年前にリニューアルした時には、2階にカフェを作って、そこからカフェ事業も始まりました。僕らがやっているライブ事業もそうですし、夏フェスのグッズもだいぶ以前から展開している。もともとタワーレコードはレコード屋ですが、そうじゃないところでも音楽と触れ合える場所は作れるんじゃないかというビジョンが社長の嶺脇(育夫)にあり、様々なプロジェクトをやってきたんですね。僕らがやっているライブ事業も、レコードを売るための販促ではなく、きちんと能動的にお客さんがチケットを買って足を運んで来てくれるような場を提供する事業の一つとして進めています。

――『Bowline』のコンセプトはどういうところから決まっていったんでしょう?

大幡:たとえば海外で行っている『ALL TOMORROW'S PARTIES』のような、毎回違うアーティストがキュレーターをつとめる方式のイベントを、ある程度大きな規模でやりたいというのが最初に考えたことですね。

――そういうイベントにしようと思ったのは?

大幡:多くのフェスがある中で「タワーレコードらしい」という特色を出していく狙いもありました。タワーレコードらしさって、たとえば店頭の試聴機のように「このアーティストが好きならこのアーティストもオススメ」と関連付けて音楽を紹介するところにもあると思うんですね。アーティストがキューレーターをつとめるという形のイベントは、お客さんにとっても一つのアーティストを入り口にいろいろなアーティストに出会っていただくきっかけになる。そういうところはタワーレコードらしいと思います。

――そこが他のフェスとの差別化のポイントにもなっている。

大幡:メディアやイベンターが主催するフェスも多いですが、そことは違うやり方ですね。タワーレコードが主役になるのではなく、毎回一組のアーティストが主役になって、彼らと一緒にやっていく。それがタワーらしいのかなと思ったんですよね。やはり音楽の作り手が主役で、そこをサポートして仲介しているのが僕らタワーレコードだと思うので。

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MAN WITH A MISSIONがキュレーターを務めた第一回『Bowline』の様子。

――そうなると、最初に誰にキュレーターをお願いするかというところは大きなポイントになると思います。第一回目はMAN WITH A MISSIONがキュレーターをつとめたわけですが、これはどういうところからだったんでしょう?

大幡:MAN WITH A MISSIONはその前年に「CDショップ大賞」を受賞したバンドで、そこが大きなポイントでした。CDショップの店員が選ぶアワードを受賞したばかりのMAN WITH A MISSIONは、CDショップのタワーレコードがやるイベントの最初の旗振り役としてはまさにうってつけの存在だと思いました。

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