マライア・キャリー、エピック発のベスト盤が物語るもの 元祖・歌姫のキャリアとは?

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 しかし、トミー・モトーラの呪縛から解放されたマライアに待ち受けていたのは、これまでの〈清楚で健康的な歌姫〉から〈ヒップホップ路線へシフトチェンジした歌姫〉のギャップから生じた深刻なファン離れだった。ビヨンセの旦那であるジェイ・Zと共演を果たした「Heartbreaker」(99年)は、シングル・チャートこそ1位を射止めているものの、それが収録されたアルバム『Rainbow』は米国で300万枚という、マライアにとっては納得のいかない売り上げとなってしまった(前作『Butterfly』が500万枚、前々作となる『Daydream』が1,000万枚という数字から見ても明らかなように。さらに次作『Charmbracelet』に至っては100万枚に到達するのがやっとであった)。

「We Belong Together」/Mariah Carey

 だが、歌姫はくじけない。冒頭で述べたようにデフ・ジャム・レコードへ移籍しての第二弾となったアルバム『The Emancipation of Mimi』(04年)で見事な復活劇を果たした。アルバムからのセカンド・シングルとなった「We Belong Together」は、5年ぶりにチャート首位を飾り、海外の多くのメディアが〈歌姫、完全復活〉という見出しで報道したほどである。どんなゴシップが流れようが、体型を揶揄されようが、アートワークのレタッチを指摘されたとしても、マライア・キャリーの〈時代を象徴する歌姫〉という事実は、やはり揺るぎないものなのだ。

 アメリカを代表する歌姫(ディーヴァ)は、マライア・キャリーをはじめ、故ホイットニー・ヒューストンや、現在姉妹連中がリアリティショウを騒がせているトニ・ブラクストン、「タイタニック」の主題歌でもおなじみのセリーヌ・ディオンなど、ジャンルは違えどたくさん存在するが、ここまでコンスタントに楽曲を発表し、デビューから現役を貫き通しているのは、マライア・キャリーのほかに果たしているだろうか? 彼女は、アメリカが生んだ、世界的に知られる〈歌姫〉の象徴なのだ。それはベスト・アルバム『#1 To Infinity』の収録曲がすべてを物語っている。

「Infinity」/Mariah Carey

(文=讀賣蘭堂)

■リリース情報
『#1 To Infinity』
発売:6月24日
価格:2,200円(+税)

《収録楽曲》
1. Vision of Love
2. Love Takes Time
3. Someday
4. I Don't Wanna Cry
5. Emotions
6. I'll Be There feat. Trey Lorenz
7. Dreamlover
8. Hero
9. Fantasy (Bad Boy Fantasy Remix) feat. ODB
10. One Sweet Day with Boyz II Men
11. Always Be My Baby
12. Honey
13. My All
14. Heartbreaker feat. Jay-Z
15. We Belong Together
16. Don't Forget About Us
17. Touch My Body
18. All I Want for Christmas is You(恋人たちのクリスマス)
19. Infinity(※新曲)

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