GReeeeNの変わらない“強さ”とは? 年月を経ても愛される楽曲的魅力を探る

 ではなぜ、GReeeeNの楽曲には10年近く経っても変わらない魅力、変わらない強さがあるのか。まず、一聴しただけで口ずさめるようなわかりやすいメロディと、音を詰め込み過ぎずシンプルでわかりやすいアレンジ。聴く人の年代を選ばないという強い武器により、若年層からお茶の間層、そしてシニア層までもを取り込むことができた。アレンジにしてもその時代その時代のトレンドを取り入れるというよりは、歌と歌詞を最大限に生かす味付けとして施されており、その結果8年前の「愛唄」を今聴いても古臭いと感じることはない。

 歌詞についてはどうだろう。whiteeeenが歌う「愛唄〜since 2007〜」が映画『ストロボ・エッジ』に共感した10代女子に受け入れられたという点からもわかるように、GReeeeNの楽曲といえば「青春時代の淡いラブソング」「人生の応援歌」というイメージが強い。「青春時代の淡いラブソング」という点においては、今回のベストアルバムのDISC 2を、歌詞カードを手元に置いて聴けば一目瞭然だ。そして「人生の応援歌」という点については、GReeeeNの音楽に共鳴したトップアスリートとコラボしたYouTube映像を観ていただきたい。ここでは世界水泳での活躍も期待される入江陵介選手、プロボクシング世界チャンピオンを目指すロンドンオリンピック金メダリスト村田諒太選手、読売ジャイアンツ坂本勇人選手がそれぞれ「ビリーヴ」「Green boys」「pride」が楽曲&歌詞をバックに、トレーニングに励む姿などを見せている。楽曲と映像がリンクするこの動画を見ると、GReeeeNの魅力もより伝わりやすくなるだろう。また2011年の東日本大震災の際には震災復興プロジェクト『Green boys Project』の一環として、新曲「Green boys」を無料配信。「僕ら何度でも 何度でも 立ち上がるから」というフレーズが印象的なこの曲を通じて、当時東北を活動拠点としていたGReeeNが被災者の背中を押す結果となった。いろんな世代の、いろんな環境にいる人たちに寄り添う歌詞。これがGReeeeNの魅力の1つなのではないか。

 そしてもう1つ。GReeeeNといえば、徹底してメディアに顔を出さないアーティストとしても知られている。アートワークには4人のシルエットが用いられることがあるものの、CDジャケットやMVには一切登場しない。特にMVは有名俳優・女優や気鋭の新人を起用し、ドラマテイストの構成となっている。さらにアーティストが表に出ないことで、代わりにいろいろな人たちがそれぞれの楽曲の世界観を構築。特定のイメージが植え付けられることなく、聴き手はまるでテレビドラマや映画を観るように、自分の感性でその曲のイメージを広げていく。これも楽曲に入っていきやすい要因の1つかもしれない。また視点を変えれば、デビューから一貫して顔を出さないことで、ビジュアル的に経過年齢を感じることがないというのも大きい。そういう意味では、初音ミク的な魅力もあるのでは……というのは言い過ぎだろうか。

 さて、ベストアルバム『C、Dですと!?』の内容について話題を戻そう。各DISCにはそれぞれテーマが設けられているが、2011年以降にリリースされたシングルの表題曲や、先に挙げた「Green boys」、NEWSへの提供曲のセルフカバー「weeeek」、羽生結弦のCM出演で話題を集めた「はたちの献血」キャンペーンソング「ビリーヴ」、新曲「夏の音」、そしてボーナストラックとして「愛唄」と、この5年間のGReeeeNの活動をおさらいするにうってつけの2枚組作品だ。ベストアルバムとしてシンプルに楽しむもよし、メンバーが設定したテーマに沿って歌詞と向き合うもよし、そして映画『ストロボ・エッジ』をきっかけにGReeeeNに触れてようとする入門編としてもよし。ベストアルバムではあるものの、それだけでは終わらない魅力を多方面から感じることができるはずだ。

 そして、混沌とした21世紀のJ-POPシーンにGReeeeNが残した功績を、このベストアルバムから感じることもできる。以前は持てはやされたアーティストのスター性やカリスマ性が希釈傾向にある昨今、作り手、売り手はさまざまな手法でCDを売ろうと画策してきた。しかし最後の残るのは「歌」なのだ、ということをGReeeeNは証明したのではないか……そんなことを気付かせてくれる彼らの楽曲がこの先もずっと愛され続けることを願ってやまない。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■リリース情報
『C、Dですと!?』
発売:2015年6月24日

【初回限定】ライブとか楽しむグッズ付盤
 <2CD+DVD+グッズ(サングラス)付>
¥6,259(税抜)
<ヌネットGReeeeNオリジナルサングラス>
  白or緑いずれかランダム封入
※サングラス画像貼り付け 2種

DVD収録内容
・ソラシド
・花唄
・恋文 〜ラブレター〜
・ミセナイナミダハ、きっといつか
・オレンジ
・雪の音
・桜color
・イカロス
・HEROES
・愛し君へ
・僕らの物語
・愛すべき明日、一瞬と一生を
・愛唄
ほか、収録予定

【初回限定】観て聴いて楽しむ盤
<2CD+DVD>
¥3,759(税抜)
CD、DVD収録内容は「ライブとか楽しむグッズ付盤」と同様。

【初回限定】たっぷり聴く!お得盤
<2CD>
¥2,759(税抜)
CD収録内容は「ライブとか楽しむグッズ付盤」と同様。
※なお、こちらのCD2枚組商品は「たっぷり聴く!お得盤」(税込2.980)が終了し次第、同内容の通常盤(品番:UPCH-2038/9 税抜¥3.500 税込¥3.780)で販売。

【初回限定】1枚で楽しむ盤
<1CD>
¥2,000(税抜)
CD収録内容 14曲 

http://greeeen.co.jp/

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