FORWARD・ISHIYAの音楽映画レビュー
ジミ・ヘンドリックスはいかにして伝説となったか 映画『JIMI:栄光への軌跡』を観る
60年代ロックシーンにおいて、いや歴史上最も偉大なギタリストと言っても過言ではないジミ・ヘンドリックス。音楽に携わる者ならば彼を知らない人はいない。そのギターの神様ジミ・ヘンドリックスの1966年のデビューからモンタレー・ポップ・フェスティバルで伝説を生むまでの知られざる素顔が映画になった。
1966年にニューヨークでローリング・ストーンズのギタリスト、キース・リチャーズの恋人であるリンダ・キースに見いだされたジミ・ヘンドリックスは、1970年の死に至るまでの実質3年間を、火の玉のように燃え尽きた。その生涯のうち、モンタレーまでの1966年と67年の2年間にスポットを当てて、ジミの知られざる素顔とともに、濃密な人間ドラマを映し出すこの映画は、今までにあったジミ・ヘンドリックスの映画とはまったく違うものになっている。
ジミ・ヘンドリックスを演じるアンドレ・ベンジャミンは、絶大なる人気を誇るヒップホップユニット「アウトキャスト」のメンバーであり、近年俳優としても才能を発揮し注目を集めている。このアンドレだが、映画を観ているうちに本当にジミにそっくりに見えてきて「これは本人か?」と思うこともしばしば。毎日8時間ギターを猛特訓し、喋り方や立ち振る舞い、ギターの弾き方や表情に至るまで、入念なリサーチを重ねたというその演技は、すべてがジミ・ヘンドリックスそのものだ。ガムを咬みながらギターを弾く感じなど、本当にそっくりで、生前のジミの姿を彷彿とさせる。
筆者はジミ・ヘンドリックスが大好きではあるが、それほどマニアなワケではない。しかし、マニアが観てもこのアンドレ・ベンジャミンのジミ・ヘンドリックスには納得できるのではないだろうか?