AKB48グループドラフト会議にみる各チームの戦略 “新メンバー低年齢化”が進む背景とは?
また、今回選ばれた候補者から、各チームの戦略が透けてみえるという。
「今年10月発足予定のNGT48は、『即戦力』という意向で、“元バイトAKB”である19歳の西潟茉莉奈と16歳の荻野由佳の交渉権を獲得しました。候補生が決まっていない状況で即戦力と言えるのかどうかわかりませんが、“バイトAKB”をやっていたことはアドバンテージとして強く働くでしょう。また、SKE48は、低年齢メンバーの交渉権を得ており、ファンの間でも注目度の高い7期生と競わせるための意向だと思われます。そして、現在研究生が不在で卒業の発表が続くNMB48は、その代わりと言わんばかりに多くの候補者の交渉権を獲得しています。HKT48は低年齢のメンバーが多いため、今回は少なめの補強に留まっており、テレビ番組などで露出機会を多く与えることができるAKB48は、先述の樋渡さんや山邊さんなど、堅実な選択を試みています」
最後に、この『ドラフト会議』自体にも、グループの戦略が色濃く映っていると同氏は語る。
「『普通にオーディションを行い、過程はクローズドなまま研究生が発表され、ファンにのみ広がる』というよりも、今回のドラフトのように大々的にイベントを行うことで、AKB48ファン以外にも新しいメンバーが入ったことが伝わるようになっている。それに、イベント前から各候補者の動画や合宿の様子を公開したり、握手会を体験させたりすることで、スター候補をファンも運営もいち早く見つけやすいし、本人にとっても露出が増えるのでやる気が起こりやすいと思うんです。ドラフト1期生は、川本紗矢がじゃんけん大会で活躍するあたりまで、正規メンバーでも研究生でもない様な立ち位置として宙ぶらりんの状態が目立ちましたが、システムが整ってきた今後は、若手をいち早くブレイクさせるための施策として機能していくでしょう」
グループが次世代育成に舵を切るなか、ドラフト制度はどこまでその一助となるのだろうか。引き続きその動向を追いたい。
(文=編集部)