柴 那典がシングル「なんでもねだり」を徹底分析
「アネッサ」タイアップで天下獲り!? KANA-BOONの“止まらない勢い”を読む
いまや「勢いのあるニューカマー」から「次世代を代表するロックバンド」へのステップを駆け上がりつつあるKANA-BOON。彼らが5月13日にリリースするニューシングル『なんでもねだり』は、その存在をさらに広く知らしめるきっかけとなる一曲だ。
今年3月にはデビュー前からの夢の舞台だったというアリーナ公演も実現、武道館・大阪城ホールを即日ソールドアウトの満員で成功におさめた彼ら。しかし振り返ってみれば、たった2年前、2013年の始めの頃にはその全国的な知名度は皆無だった。当時のフェスやライブイベントでは、まだ彼らのことを初めて観る人がほとんどだった。腕を組んで様子見ムードのお客さんもいた。しかし彼らはどんな場所でも、たった30分で全員を巻き込み、終わった時にはその場にいる全員を虜にするようなステージを見せていた。
その時の彼らのキラーチューンになっていたのが、インディーズ盤『僕がCDを出したら』に収録された初期の代表曲「ないものねだり」。新曲「なんでもねだり」のまぎらわしいタイトルも、そこに繋がるものだろう。
彼らの武器である疾走感あるビート、人懐っこいメロディを最大限に活かしたこの曲。そして、大きなポイントは、これが資生堂「アネッサ」CMソングとして書き下ろされたものである、ということ。すでにテレビでも大量にOAされ「♪あれがほしい、これがほしい わがままな君に見とれてる」というサビの歌を耳にしたことのある人も多いはずだろう。
資生堂のウェブサイトに掲載されたインタビューでは「CMに登場する『アーンド』というワードを軸にポップ感を盛り込み、つくりました」と答えている。フックとなっている「♪アン、アン、アアン、アーン」という箇所も、かなり意識的に狙ったフレーズであるわけだ。
つまり、フェスやライブハウスという「現場」で初対面の人を惹きつけるキラーチューンとなった「ないものねだり」に対して、CMタイアップという「マス」においても同じように機能することを意識して作られた曲が、この「なんでもねだり」なのである。