三代目JSBがぶっちぎりチャート1位に 止まらないセールスの背景を読む

参考:2015年4月13日~2015年4月19日のCDシングル週間ランキング(2015年4月27日付)

 10位までのうち、7つが初登場という楽しい週となりました。しかし上位を見ると三代目J Soul Brothersが43.9万枚を売り上げてぶっちぎりの1位。2位のモーニング娘。'15の4倍近い売り上げとなっております。モーニング娘。の10万枚も非常に立派な出来高だと思うのですが、実はグループとしては前々作が13万枚、前作14万枚というふうに上り調子にストップをかけた数字でして、これはまあ、前リーダーの道重さゆみが卒業した影響がいよいよ本格的に出始めているのかなと思わせるわけです。実際、道重さんが抜けてからはシングル連続1位の快進撃もストップしてまして、つんく♂さんの喉の件も社会に衝撃を与えた昨今ですが、ここからぜひ頑張ってほしいところであります。新世代としてはここが粘りどころという感じでしょうか。

 新世代と言えば、三代目J Soul Brothersもグループ名じたいが世代を感じさせるものになっているわけですが、彼ら以前のメンバーが最初から「元祖J Soul Brothers」とか「本家J Soul Brothers」とか「真打J Soul Brothers」とか妖怪ウオッチみたいなことを名乗っていたわけではなく、グループの栄枯盛衰によって消滅と復活を繰り返した末に今のメンバー構成を「三代目」と呼称し、それ以前のものが「二代目」「初代」と呼ばれることになったという、歴史性をあえて目立たせるような形でこのグループ名になるに至ったわけです。新シングルも「starting over」つまり「やり直し」というタイトルでして、どこまでも過去を強調していくスタイルという感じでありましょうか。グループのファン以外の人には「三代目」といってもわかりにくいところでありましょうが、まあモーニング娘。'15の「'15」なども思わせぶりに年が書いてあるわけで、歴史の長さをグループ名に反映させて目立たせるのが局所的に流行しているのかもしれません。

 さてそんな『starting over』ですが、テーマが「地球」だそうで、大変スケールがでかそうに思われます。しかしまあ、つまりは歌詞が「この星に生まれた意味」とかそういう感じというわけでして、テーマ性に合わせてかゴスペル調を意識したアレンジになっていると言われております。というわけでポップミュージシャンがゴスペル調ですと言う時の例に漏れず、リバーブ感ある豊かなコーラスワークを楽しめる作品であります。この優れた歌唱力が評価されてか、今作の売り上げは自己最高の数字だそうで、これは大変めでたいのではないでしょうか。ちなみに5月末から初となる単独ドームツアーが控えてまして、ファンクラブ先行のプレミアムパッケージチケットには、今回のCDが「テーマソング」として付属しております。というか要するに抱き合わせ商法なわけで、これが今回の売り上げ増に結びついたであろうことは想像するに難くないところであります。まあみんな「この夏休みにかけて三代目のライブを見たい!」と思った結果として、そのチケットにテーマソングのCDがオマケで付いてきてもお得だし別にいいか、という純粋な気持ちで買ったわけですから、別に悪いことではないと思います。これ以外にも三代目は各媒体で新曲をプッシュしまくっておりまして、売り上げ以外でもシングルの注目度は上がっているものと思われます。

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