Sugar's Campaignが語る、新世代のポップミュージック論「ポップを突き詰めると気持ち悪くなっていく」

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「Sugar's Campaignの音楽は、意図的に100%陽性になるようにしている」(Seiho)

――日本では、ボーカリストをカリスマにして引き立てる方法論が一般的ですが、Sugar's Campaignは今後もメジャーのフィールドで今のスタイルを続けるつもりですか。

Seiho:劇団っていう比喩を使いましたけど、僕らは完全なるコントとして受け止められることを望んでないんです。どちらかというと、吉本新喜劇みたいな、その人のキャラがわかりつつ「その人がこういう演技をするから面白い」という感覚も付けていきたい。だから僕やAvec Avecのキャラもあるし、あきおやSherry Liのキャラもあるわけで、僕らのなかで決めている俳優が演じることに意味があるし、ずっと突き詰めていきたいですね。

――だから劇団であるし、俳優の演じる役が変わっていくだけだと。

Seiho:あきおが女の子を演じる曲もあれば、男の子を演じる曲もある。でも僕たちはそれを男の子とも女の子とも断定していなくて、どちらにも取れるようにしてあるんです。だから僕らのテーマは「男と女の間とか、老人と子供の間」みたいなものが多くて、その間の存在を具体的に表すのではなく、抽象的に見て欲しいという意図ですね。

――今回の作品は、ドライブミュージックにピッタリな、陽性の意思を持ったポップスだと感じました。こういう音楽をあえてやるということ自体、今の時代にあまりないように思えます。

Avec Avec:クラブで聴いて気持ちいいっていうのとは別に、テンポ的なものも含めて、車などで聴くことなども考えて作りましたね。

Seiho:Sugar's Campaignの音楽は、意図的に100%陽性になるようにしています。陽であればあるほど、歪になっていくというか、それが一番気持ちいいんです。

Avec Avec:アニマル・コレクティヴのイチゴが潰れてるジャケット(『Strawberry Jam』)を見て、めちゃくちゃ美味しくて甘くて可愛い果物をこんなに集めたらこんなグロテスクになるんやと思って。これはきゃりーぱみゅぱみゅの世界感とかにも通じるかもしれないですけど、ポップなものって突き詰めると気持ち悪くなっていくんです。

Seiho:だからといって、グロテスクなものを目指して作りたいわけではないんですけどね。

――メジャーデビューをし、聴かれる場が飛躍的に広がることについてどう思っていますか。

Avec Avec:自分たちは、多くの人にさえ聴いてもらえれば、もっと広まると思っています。「ネトカノ」も、ネットの界隈だけで音を出してましたけど、そうじゃなくてもっと聴いてもらえる母数を増やしたかったですし、50代のおっちゃんや子持ちの主婦の方にも聴いて欲しかった。

Seiho:メジャーでやると決断した理由としては、それが一番大きかったです。100人が聴いて50人に受けるものは、10000人に聴いてもらったら5000人は喜ぶはずって信じてましたし、僕らが自分たちでやり続けても、20代のネットリテラシーの高い若者にしか広がらないと思ったので、大人の力を借りようと思いました。

――大人の力を借りてアルバムを作るにあたり、意識したコンセプトは?

Avec Avec:バンド時代から数えると5年くらいやってるので、そのベストアルバムを作る感覚でしたね。今回新しく書いたのは「パラボラシャボンライン」と「となりタウン」くらいで、あとは1年前、2年前から作ってたものですし、「カレイドスコープ」はバンド時代の曲です。

Seiho:アルバムを作るにあたって、「ネトカノ」をリミックス・リアレンジすべきかどうかで迷っていました。でも、このアルバムは僕らだけのものじゃないよなと思ったんです。ここまで応援してくれた人、ライブに来てくれた人、現象を楽しんでくれた人に、一旦僕らの全てを見せるというか。

Seiho:アートワークは僕が撮ったんですけど、みんなが思ってるSugar's Campaignを、具体的にしたらこんな感じのバランスやなと思ったんです。色んなものを見て、自分がジャケットを頼まれたらこうすると客観的に考えて作りました。欲を言えばもう少し高級感も出したかったし、削りたいところもあったんですけど、不思議と、まんべんなく伸ばした時の視点を意識しちゃうんですよね。

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