RHYMESTER、京都精華大学でヒップホップ講座を開催 宇多丸「飛躍的な伸びにビビりました」

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京都精華大学の講座の様子。

 ヒップホップグループ・RHYMESTERが、京都精華大学で『ライムスターのヒップホップ講座』を行った。この講座は、京都精華大学がキャンパスを学びの場として一般開放する「公開講座ガーデン」のひとつとして開催されたもので、RHYMESTERのメンバーは9月28日、10月12日、26日の3日間、実践を交えながらレクチャーした。

 同講座には、講義に加えてワークショップを行うという特徴がある。25名の受講生は学生から社会人までと幅広く、既にラッパーとして活動している人や、一つの表現としてラップをしてみたい人など参加の動機もさまざまだったが、一人ひとりが熱心に課題制作に取り組んだ。

 第一回目の講座(9月28日)は「3人ともこういった“授業”を行うことが初めてなので、受講生と一緒に進めていきたい」という気さくな挨拶から始まり、宇多丸によるヒップホップ音楽の歴史ミニ講義とMummy-Dによるリリック解説、ラップについてのレクチャーがあった。

 受講生はこれを受けて、“自己紹介ラップ”を制作。DJ JINの音出しに合わせて、実際にマイクを持って発表した。発表時には、Mummy-Dと宇多丸が良い部分や修正したほうがいい部分について、受講生へ一つひとつ丁寧にコメント。また、ことばを「4分音符で刻む」「8分音符で刻む」「16分音符で刻む」ことにどのような違いがあるかの例をMummy-Dが実演する場面もあった。最後には質疑応答タイムが設けられ、メジャーとインディーの違いなどリアルなエピソードが語られた。

 第2回目の講座(10月12日)では、前回の講義で出された“「ONCE AGAIN」「B-BOYイズム」「POP LIFE」のいずれかの曲で16小節の歌詞を書く”という課題の発表からスタート。1回目よりも格段に上達し、また個性も表れてきた受講生のラップに、教室は大いに盛り上がった。今回もアドバイスとして、サビへの着地に向けての密度の調整、倒置法や体言止めの効果的な使い方、声による向き不向きなどが実例を交えて述べられた。また、個別講評の中にも、表現そのものについてや、より伝わる歌詞にするための視点など創作全体に通じるアドバイスがあり、他の受講生らが深くうなずく姿が見られた。

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小節と拍について、ホワイトボードでわかりやすく解説する一コマも。

 中盤にはヒップホップ初心者のために、DJ JINが「DJとはなにか?」について説明した。会場や空間の雰囲気を作るための5つのポイントや、RHYMESTERのライブ中にはどのような役割を担っているのか、DJ活動における準備や勉強の大切さなどが自身の経験をもとに語られた。「DJって簡単そうに思われるかもしれないけど、やってみると難しく、奥が深い。日々センスを磨いていく積み重ねが必要です」と締めくくった。

 続いて、Mummy-Dが「サビの作り方」を伝授。「覚えやすく歌いたくなることが大事」と述べ、さまざまなヒップホップ音楽のサビをオリジナルの分類で解説。「聞き手をどう巻き込んでいくか」「どんなキーワードを使うか」「サビでどのくらいのメッセージを伝えるのか」などポイントを解説しながら、サビを具体的にどう作っていくのか、Mummy-Dの手順も明かされた。そして、最終回に向けて、「RHYMESTERの楽曲に合わせ、フック(サビ)とバース(サビ以外)を制作する」という課題が出された。

 第3回(10月26日)は受講生の発表がメインとなった。発表時には、細やかなアドバイスとともに、「説明不足と説明しすぎの境界線」や「重いテーマを重いままにしないコツ」などが歌詞の世界観と本人のスタイルにあわせて解説された。

 その後の質疑応答タイムでは、「離れていても韻を踏むことになるのか」「サンプリングの面白さとは」「上手いと思うラッパーはいるか」「Featuringで意識することや変化することは」「日本語ラップの現在をどう思うか」など多様な質問に答えた。

 最後には、RHYMESTERが揃ってライブ定番の「ライムスターイズインザハウス」と、課題曲に使われた「ONCE AGAIN」を披露。講評を受けてきた内容を踏まえて、プロのテクニックや実力が実感できる形となった。ライブハウスよりも距離が近いため、受講生からは「宇多さんDさんのラップ、JINさんの手元を、こんな近くで見られるなんて」と感激の声もあがっていた。

 ライブ後はMummy-Dが「講座は終わってしまうけど、これからもヒップホップやラップがみなさんにとって素晴らしいものであってくれれば嬉しいです」と述べ、全3回講座が終了した。

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