アンジェラ・アキは、武道館公演で10年間の活動をどう締め括ったか 稀有なアーティスト性を分析

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 8月4日の武道館公演をもって日本での活動を休止し、現在はアメリカに移住して音楽大学に通いながら、ブロードウェイでかけるミュージカルのプロジェクトを進めているアンジェラ・アキ。武道館公演の模様をまるまる収めた映像作品『アンジェラ・アキ Concert Tour 2014 TAPESTRY OF SONGS – THE BEST OF ANGELA AKI in 武道館0804』は、メジャー・デビューから約10年間の活動の集大成的な内容でもあり、ファンにとっては嬉しい置き土産だ。

 そこにはアンジェラ・アキという稀有なシンガー・ソングライターの魅力・実力がそのままパッケージされている。じゃあ、それはなんなのか。どこが稀有なのか。

 このことがちゃんと語られることは滅多にないので改めてここに記しておきたいのだが、まずはその声量。これはちょっと破格である。声が大きくて通りがいい。伸びやかで力強く前に出てくる。その上ピッチの安定感がある。筆者はデビュー前からアンジェラのライブを数十回観てきたが、歌が揺れるなどの不安定さを感じたことがただの一度もない。日本のポップスの分野で、その声量とピッチの安定感に関して言えば吉田美和とアンジェラ・アキが双璧だろう。

 初めてアンジェラが武道館公演を行なったのはメジャー・デビューからわずか1年3ヶ月後の2006年12月であり、それは武道館の歴史上初となる“単独アーティストによるピアノ弾き語り公演”だったわけだが(ちなみに2番目はその1年後のエルトン・ジョン)、その成功も圧倒的な声量に負うところが大きい。要するに武道館のような大会場でも、彼女は自身の歌とピアノだけで十分ドラマチックなライブを見せられる歌手であったということ。逆に武道館で2時間以上弾き語りをして“もたせられる”歌手が日本にほかにどれだけいるかを考えてみれば、彼女の歌ヂカラがいかに突出したものであったか理解できるはずだ。

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