『妖怪ウォッチ』関連曲がチャート上位独占 ヒットを生むクロスメディア戦略とは?

 そして付け加えるまでもないことだが、今週ランクインした2作品にはゲームと連動して遊ぶことのできる妖怪メダル付属のバージョンが用意されており、メダル欲しさに買い求めた人がたくさんいたおかげでチャート順位も押し上げられている。その甲斐あって今回Dream5は初のシングル1位を達成することができた。近年はアイドルに限らず複数アイテム販売戦略で売り上げを伸ばすケースが常態化しているわけだが、妖怪メダル商法はそれとは似て非なる新たな方向性と言っていい……かもしれない。

 4位、サカナクションの新譜は東進ハイスクールのCM曲として昨年話題になっていたもの。初回限定盤にラッパー・環ROYとのセッションが収録されているのも含めて、ある種サカナクション的なものを臆せず打ち出している感のある、実にエモさを煽り立てた楽曲である。まさにタイトル通りではある。ともあれ純然たるいい曲なわけだが、結果は初週の売り上げ枚数が2万枚。サカナクションは昨年前半の「ミュージック」が累計5万枚で、ここをピークにして少し売り上げを落としていっている形になる。バンドというか山口一郎としては、この結果を受け入れて自らにとってよいと思うモノを作り続けていくのか、もう少し広い層にリーチしたいと思うのか、シングル10枚目にして思案のしどころになっているようにも思える。

 あと今週のチャートでは、もう一点だけ気になる点がある。剛力彩芽、初回盤と通常盤のみで9400枚を売り上げ、リリスクの7種展開と喜多村英梨の3種展開をかわして8位にランクインというのは、それなりにすごいのではないか。まあ、オスカーにとって女優系タレントの歌手活動はヒットを狙うよりも経験を積ませる程度で十分なのだろうし、いずれにしても地味な戦いではありますが。

■さやわか
ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』『一〇年代文化論』がある。Twitter

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