TAMTAMが最新作で打ち立てた“音楽的な自由”とは?「今のダブ・バンドとしてどこまでやれるか」

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「もっと尖りつつ、一方で、もっと開かれたポップなものにもしたい」(Kuro)

――当初レゲエってラスタファリズムに昔ながらの古くさいヒッピー幻想を託して語るみたいな風潮があって、そういうのがいやだった若い世代が始めたのが、かつてのMUTE BEATだったりしたと思うんですよ。いわばレゲエの精神面思想面から少し距離を置いたところから始めた人たち。TAMTAMってそういう流れにあるバンドじゃないかって気がします。

Tomomi:まったく(思想と)結び付いてない。

Kuro:そういうのがあるから、パッと聴き全然違う音楽をやっているようなTAMTAMでも、HAKASEさんとかフィッシュマンズの茂木欣一さんとか、いいねって言ってくれるし。ドラヘビの秋本(武士)さんとかも…ちょっとビビってたんですけど、なんて言われるかなって(笑)。でも“ダブは自由だから、自分らの思うようにやりたまえ”って言ってくださって。

――ダブの定義ってダンス・ミュージックの定義と似てると思うんですよ。言ってみれば踊れる音楽ならどんなジャンルであれダンス・ミュージックなわけで、同様にダブもダブっていうキーワードさえ保っておけば何をやってもいい。そういう自由さがダブでありTAMTAMでもあるっていう。

Junet:確かにそうかもしれない。

Tomomi:すごい…解きほぐされていく感じがする(笑)。自分たちがわかっていなかった部分を解きほぐして、はっきり言語化していただいて(笑)。

Kuro:ほんとそう。

――今作の曲はもうライブでやってるんですか。

Affee:最近やり始めました。

――反響はいかがですか。

Affee:楽しいですよね。

Tomomi:反響は…直接は聞いてないですけど、ツイッターとかの反応は悪くない気がします。

――ここ2~3作はレゲエ離れがはっきりしてきましたよね。そのあたり従来からのファンの人はどうなんでしょうか。

Tomomi:意外とファンの人もついてきてくれてますね。新しいのも好きって言ってくれる人が多い気がします。前から聴いてくれた方の中でも、ダブ好きレゲエ好きっていうよりは音楽好きのファンの方が多くいらっしゃって。そういう意味でいろんな音楽を聴いてらっしゃるから、音が変わっても受け入れてくれるという。非常にありがたい。

Affee:今回、バンドとしてはかなり限界までやれたと思うんです。ここまでやったら怒られるかなっていう、自分たちが想像できる(ダブの)ギリギリのところまで広げたつもりだったんですけど、けっこう大丈夫そうだっていうのがわかったんで。もっと行けるなって今は思ってますね。もっと実験して欲しいって感じのレスポンスもちょっとあって。もっと攻めてやったほうが面白いことができそうだなと。なので次はもっと弾けていきたいなと…個人的にはそう思ってますけどどうですかね?(笑)。

Kuro:両面ですね。もっと尖りつつ、一方で、もっと開かれたポップなものにもしたいです。難しいですけど、相反してはいないと思うんです。

Junet:ダブ・バンドとしての変なところというか、そんな面白さは残したい。それでJ-POPをダブ化できたらなと思っています。

Tomomi:もっとメロの精度を上げていきたいですね。ありふれたメロディじゃないんだけど、すごく耳に残るメロディができるといいなあと。ただ変であればいいってわけじゃないんで、なかなかうまくできないんですけど。

――TAMTAMの音楽は全員で共有して一体となって盛り上げるというよりは、アーティストとリスナーひとりひとりが個々に繋がって、一対一のパーソナルなコミュニケーションをとっているという印象があります。その一対一の結びつきがお客さんの数だけあるという。そういう意味で従来の日本のロック・バンドとは違う新しいコミュニケーションのあり方が生まれるかもしれません。

Kuro:なるほど。

Affee:ああ、それはそうかもしれないです。今初めてそういう感想をいただきましたけど確かに。

(取材・文=小野島大)

■リリース情報
『Strange Tomorrow』
発売:2014年9月17日
価格:¥2,300(税抜)

■ライブ情報
『TAMTAM I DUB YOU TOUR2014-Strange Tomorrow-』
11月22日(土)札幌・SPIRITUAL LOUNGE
11月24日(月・祝)東京・FEVER ※ワンマンライブ
11月27日(木)名古屋・CLUB UPSET
11月28日(金)大阪・Zeela

■オフィシャルHP
http://tamtam.mao-jp.com/

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