TAMTAMが最新作で打ち立てた“音楽的な自由”とは?「今のダブ・バンドとしてどこまでやれるか」

141015_tamtam_l1.JPG

 

「ダブを聴いた時の<なんだこれ?!>って驚きは届けたい」(Affee)

――特にメジャー移籍以降のTAMTAMは歌メロがすごくはっきりと前に出て、歌ものとしてきちんと成立していますね。そのあたりは意識してますか?

Tomomi:そうですね。僕はもう完全に、歌だけになったとしても聴ける、というか流れがわかるような作りにしたいな、というのがあって。完全にルートに乗ってあまり抑揚なく歌ってると、トラック消えちゃうと、厳しいじゃないですか。トラックが消えても歌ものとして成立したらいいなって意識で作ってます。

Kuro:TAMTAMとしてどうなのかは別ですけど、私の意識としては、レゲエからはっきり離れたというか。自分のスタイルとして、レゲエ・シンガーではないな、という自覚がだんだんと出てきて。自分らの作る曲でも、純粋なレゲエみたいなのは一切出てこなくなったし。ポップス・ライクなところが出てきて。インディーズだと『Polarize』ぐらいから、もう絶対レゲエじゃないだろって曲しか作れなくなって(笑)。

――作れなくなった? 作らなくなったじゃなくて?

Kuro:作ろうともしてないかも、意識的に。

――どうしてですか?

Affee:うーん…。

Kuro:やっぱりやりたいことが多すぎて…(メンバーの)趣味はバラバラだし。それをまとめあげるのがダブの音響効果だったり、ボーカルのメロディライン、声で統一感を出してTAMTAMらしさとして聴いてもらえるのかなと。<レゲエ・バンド>というとやっぱり形式があると思うんですけど、<ダブ・バンド>っていうともっと自由で包容力があるので。

――ダブって手法であってジャンルではないですからね、本来。だからダブワイズしてれば音楽のジャンルはなにをやってもいい、という発想がTAMTAMにはあるんじゃないですか。

Affee:そうですね。ダブワイズと、あとは低音をどう鳴らすか、というこだわりは持っておきたいなと思ってます。

Junet:音響的なこだわりですね。

Affee:極論ですけど、ジャマイカ流れのベース・ミュージックとして、ヒップホップにしろ、ジャングルからドラムン、2ステップ、ダブステップまで全部繋がった感覚としてダブ~レゲエの流れは守りたいと思ってるんです。クラブ・ミュージック的な意味での低音感と、エフェクトの変な感じっていうのは保っておきたいなと。

――元となる楽曲はどんなジャンルでもいいわけですよね。レゲエでもロックでもR&Bでも…

Kuro:私、北海道でラジオをやらせてもらってるんですけど、そこでJ-POPの曲をいきなりダブ化するってコーナーをやってて(笑)。

――おお、いいですね~~(笑)

Kuro:意外と様になっちゃうんですよね(笑)。ということは元の曲、ジャンルは関係ないかもって思う瞬間もあって。ほんとは(ダブ化にあたっては)セオリーもフォーマットもあるんですけど、でもJ-POPをとにかくむちゃくちゃにしちゃう感じが、ジャマイカのまだ確立されてなかったころのダブっぽくね?って思ったことがあって(笑)。

Affee:ディレイタイムもあってないぐらいの(笑)。

Kuro:そうそう(笑)。もちろんちゃんとセオリー通りにやった方がかっこいいんですけど、そういうやんちゃ感もアリかなって。

――TAMTAMの場合、あらかじめ楽曲ををしっかり作っておいて、それをいかに加工していくかという作業ですか。

Tomomi:エフェクトが入ることを前提に曲を最初から組んでいくというか。アレンジしたあとにかけるエフェクトもあれば、ここにかかるから最初からそれを核として曲を作ることもある。さまざまですね。

Yuthke:ダブは自分以外の人がかけるって感覚があって。ギターを弾く時点でダブ後の世界っていうのは想像してないんですけど…。

――「ダブ後の世界」っていいですね(笑)。

Yuthke:ただギターを弾くときもディレイ音を想定して弾く時があって。その時は自分でかけて、あらかじめディレイ後の世界で弾くっていう。その2パターンありますね。

――そういう考え方だと、音楽的な自由度は格段に広がりますね。なにをやってもいい。

Affee:そうですね。<ちゃんと変なことをやる>ってことだけが大事、というか。

Tomomi:ポップス然としたアレンジとかロック然としたアレンジではなく。

Affee:ダブを聴いた時の<なんだこれ?!>って驚きは届けたいなと。とにかく遠慮はしたくない。これだとギターの音がわかんなくない?みたいなことを考えるよりも、かっこいいかどうかだけは考えようと。

――曲を作りながら同時に自分たちでリミックスをやっているような。

Affee:そうですね。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる