V6、新シングルで見せた高い歌唱力 万能型エンターテイナーの“職人気質”に迫る
だが、これだけ多彩な才能を開花させているグループでありながら、V6 はどこか控えめな印象のある。それは、彼らがもともと職人気質を持ったメンバーの集まりであることに由来しているのではないだろうか。
流行り廃りの激しい芸能界。特にアイドルは、若さとビジュアルだけでは息の長い活躍は難しい。そんな世界で、これほど安定的な活動を続けているのは、1つひとつの分野を真面目にコツコツと取り組み、結果を出してきた何よりの証拠。
そのスタイルは、アイドルとしての本業でもあるコンサート会場の作りからもうかがえる。ファンの間では“Vロード”と呼ばれている国立代々木競技場の2階席に伸びる花道。ぐるりと伸びたその花道にメンバーが登場すると、2階席でありながらすぐ近くで見ることが出来る仕組みだ。ファンを喜ばせるための工夫が、現状に満足しない職人気質のあらわれとも感じられる。
とはいえ、彼らには実績に対するおごりが全く感じられない。岡田は、かつてV6としての目標を「イカしたおじさんたちだなって思われたい」と語っている。アイドルでありながら、自分たちの将来像を背伸びせずに想像する姿は、自然体で仕事に取り組んでいるゆえんだろう。マルチなエンターテイナーとして成長したV6は、これからも実直に進化を続けていくはずだ。今回のシングル発売をきっかけに、さらに躍進してくれることを期待したい。
(文=佐藤結衣)