「一瞬の光を求めている」flumpool山村隆太が明かす、言葉との格闘5年間

「合唱曲を作るというのが夢だった」

――初期のflumpoolの曲の歌詞で、山村さんの印象に残っている曲はどうでしょう? 最初の武道館の時に「フレイム」を歌った時のことを覚えているという話もありましたが。

山村:ああ、「フレイム」も好きな曲ですね。このベスト盤でも最後に入っている曲で、今行っている全国ツアーのタイトルも「MOMENT」ですけど、この曲の歌詞でも「瞬間」っていう言葉を使ってるんですよね。

――「この世に出会えて良かったという瞬間 自分で良かったと叫びたい瞬間を 追いかけて歩く 生きてゆくよ」と歌っていますね。

山村:実は、この曲だけじゃなく、いろんな曲で「瞬間」という言葉を使ってるんですよ。

――それはきっと何かの理由か思い入れがあるんでしょうか。

山村:そうだと思いますね。「フレイム」は、何週間も悩んでできた歌詞だったんですよ。煮詰まって「もうできない」とか「何で俺こんな悩んでんだ」って思ったりして。でも、その中で「自分は天才じゃないかな」と思う瞬間があるんですよ。「うおー、きたー!」っていう一瞬の光が差す感覚というか。それはまた曇ってしまうんですけど、でも、それがあるからこそどんな坂道でも歩いていける気がする。それは自分の人生の中で得た一つの答えだという気がしますね。

――「証」についての話も訊ければと思います。先日に行われたニコ生特番では「歌詞が好きランキング」の1位でした。この曲の歌詞には、どんな印象がありますか?

山村:これは単純に、夢だったんですよね。合唱曲を作るというのが夢だった。もともと教師を目指してたっていうのもありますし。

――学生時代にも合唱をやっていたんですよね。

山村:そうです。だから、こんな大きな合唱コンクールで歌ってくれるのはすごく嬉しいなって思った。それを想像するだけで「やったな」っていう感じでした。実際、今になっても卒業式で歌ってくれたりしてるみたいで。そんな、教科書に載るようなことなんて、絶対できないだろうなって思ってたんで。それが音楽でやれたのはすごく嬉しいです。

――同じランキングだと「僕の存在」の人気も高いんですよね。この曲はもともとカップリングの曲だったんですけれども。

山村:そうですね。「君に届け」のカップリングです。

――この曲を書いた時はどういう印象でしたか?

山村:正直に言うと、「君に届け」もそうでしたけれど、この頃は「こんなひねくれた人間がこんなストレートなこと歌っていいのかな」という思いもあったんですけどね。

――そこから時を経て、曲への見方は変わりました?

山村:まさに「Because... I am」は、この頃の反動が大きいんですよ。「君に届け」を歌うだけじゃストレートすぎるし、中身の深さが感じられない気がする。そういう人としての深さがもっとほしいと求めてた時期だったんですね。でも、「Because... I am」を歌ってる人が「君に届け」を歌うような、そういう二面性があるのは好きなんです。そういうことを歌えるバンドはいないと思う。今なら胸を張って「君に会えて良かった」と歌える。そこは僕らの一つの強みなんじゃないかなって、今になって思いますね。

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