LEGO BIG MORLの独自性は”1フレーズの強さ” ダンスミュージックに接近した新曲を分析

 そこでもう一度「RAINBOW」の話に戻ると、この曲において”1フレーズの強さ”を体現しているのは、カナタによるディレイのかかったイントロのギターフレーズで、このフレーズが楽曲のトランス感を象徴している。ミュートを効かせ、クローズドハイハットを多用したアサカワヒロのドラムや、ボーカルも含め、全体的にリバーブがかった音像など、ダンスミュージック寄りのテクスチャーが施されてはいるものの、カナタのギターを軸に、そこにタナカの単音フレーズが絡むという構造自体は「Wait?」と同じ。つまり、彼らはこの曲でダンスミュージックを目指したというよりは、”1フレーズの強さ”にこだわり、プロツールスを用いてそれを繰り返すことでループ感が生まれ、結果的にダンスミュージック的な高揚感を獲得したと言っていいのではないかと思う。さらに言えば、LEGO BIG MORLのミニマルなギターの単音フレーズが、そもそもダンスミュージックとの相性が良かったと言うこともできるかもしれない。

 ちなみに、僕が「RAINBOW」のギターで思い出したのは、ザ・ラプチャーの「House Of Jealous Lovers」のギターであり、「Wait?」同様にベースリフがメインのカップリング曲「絶望は希望よりも美しい」から連想したのは、カサビアンの「Club Foot」のベースリフだった。つまり、LEGO BIG MORLは昨今の流行りである四つ打ちの”ダンスロック”にも、エレクトロ~EDMの流れにも接近することなく、彼らのルーツと言える00年代の海外のバンドが体現していたループ感を、今改めて実践しているとも言えそうだ。今の日本において、ここを攻めているバンドというのはあまりいないからこそ、彼らの独自性がより浮かび上がっているようにも思う。
(文=金子厚武)

■リリース情報
『RAINBOW』
発売:4月30日(水)
価格:¥1,200(tax out)

<収録曲>
1.RAINBOW 
(アニメ「ブレイド アンドソウル」エンディングテーマ)
2.絶望は希望よりも美しい
3.Star+?

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