西寺郷太『TEMPLE ST.』全曲解説インタビュー(後編)
「ダフト・パンクの新譜が出て、僕の人生がまた明るくなった」西寺郷太が語る“生の音楽”の魅力
08. YOU MUST BE LOVE
Ned Doheny/Each Time You Play(1976)
Bee Gees/More Than A Woman(1977)
シュガーベイブ/DOWN TOWN(1975)
Daft Punk/Fragments Of Time(2013)
Robin Thicke/Ooo La La(2013)
西寺:この曲だけ宮川弾さん主導で、先に彼につくってもらって僕があとから手を加えた形です。ネッド・ドヒニーに関しては、HARCOが「郷太くんってネッド・ドヒニーに声が似てるよね」って言ってくれたことがあって。自分の歌がこういうふうに聴こえていたとしたらうれしいですね。でもまあ、この「YOU MUST BE LOVE」に関しては、とにかくダフト・パンクの「Fragments Of Time」の存在が大きくて。本当にあの曲が大好きなんです。この曲で歌いたいって素直に思いましたね。それで弾さんに、「Fragments Of Time」みたいなソウル感のあるAORを僕が歌うことをイメージしてつくってもらえないかって打診したんです。シンガー主導でつくると狙いすぎちゃうから、これは弾さんにお願いしたほうがいいだろうと思って。そうしたら弾さんがメロディの半分ぐらいをつくってきてくれて、それから2人で曲にしていった感じですかね。これも良い意味でサラッと聴ける曲だと思います。「Fragments Of Time」はここ5年ぐらいでも指折りに好きな曲です。シンプルで間も空いてて、DJならではの情報処理能力も学ぶところがある。ダフト・パンクのメンバーって、僕と奥田と同い年なんですよ。つまり、NONAと同じ世代なんですね。で、去年彼らがアルバムを出したことでだいぶ空気が変わってきたと思っていて。ニルヴァーナやレディオヘッドみたいなダウナーなロックが世の中を制覇したとき、NONAがやっているようなことは古く見られたというか、それこそ「Get Lucky」だとか「Happy」みたいな価値観は劣勢でしたからね。ロビン・シックもそういう抜けたところがあって、わかりやすいポジティブさがあるというか、聴くほうは楽ですよね。スーツにスニーカーを履いてる感じというか、いいものだからこそカジュアルに楽しんでほしいです。そういった意味で、最近の音楽シーンは圧倒的に面白いですよ。追い風が吹いているというか、ようやく自分の好きな音楽が一般の人たちにも伝わるかもしれないって気持ちも出てきたりしています。
いままでは宙に向かって手を振ってる気がしていたんですけど、今回はパシッと当たるような気がしています。特に今回のソロは伝わりやすいんじゃないかなって思っています。
(取材・文=高橋芳朗)
■リリース情報
『TEMPLE ST.』
(GOTOWN/ VIVID SOUND)
発売:3月25日
価格:2,800円
〈収録曲〉
01. EMPTY HEART
02. TEMPLE / SHAKE
03. SCHOOLGIRL
04. I CAN LIVE WITHOUT U
05. SANTA MONICA
06. BLUEBERRY BAG
07. SILK ROAD WOMAN
08. YOU MUST BE LOVE
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