「愛には形なんて必要ない」加藤ミリヤが新作『LOVELAND』で決めた“覚悟”とは

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新作『LOVELAND』を2月19日にリリースした加藤ミリヤ。

 加藤ミリヤが今年の9月で活動10周年を迎える。デビュー・シングル『Never let go/夜空』で音楽の舞台に登場した彼女は、当時まだ15歳の少女で、“あどけない”というよりも、大人社会へ反発するかのような敵意が勝っているようにも見えた。

 いまやJPOPシーンで当たり前のように採用される“サンプリング”という手法をわかりやすく伝搬し、その役目を果たして以降は完全無欠のオリジナル楽曲で勝負を挑み、シングル/アルバム共にチャートを席巻、唯一無二のアーティストとして、いまなお第一線を駆けている。

 そんな加藤ミリヤが作り上げた新作『LOVELAND』が先頃リリースとなった。「とにかく私は“愛”に鈍感で、そもそも私自身に(愛が)あるなんて思っていなかった」と、やや自虐的に語った彼女だったが、デビューからおよそ10年、年齢を重ねたことで社会への敵意は、いつしか愛に形を変えたのかもしれないし、笑みを携えながらそんなことを話す彼女からは、当時見ることのできなかったあどけなさも見て取れた。

加藤 ミリヤ 『Love/Affection』

加藤:前作『TRUE LOVERS』で私が伝えたかったことは、愛。今回のアルバムは前作の続編というつもりはまったくないんですけど、結果的に今作でも私が伝えたいことは、愛だったんです。年齢的な問題かもしれないけど、周囲から“ミリヤは優しくなったよね”とか“ミリヤから愛を感じるようになった”って言われることが増えて、もともと私には存在しないものだと思っていたので、どこかくすぐったい気持ちもあったんですが、そういった愛に気づいた、芽生えたからこそ、前作以上にもっと愛を掘り下げたい、って強く思うようになったのかもしれません。

――前作と比較し、愛そのものの考え方に変化が?

加藤:“加藤ミリヤは性格が悪そう”“加藤ミリヤの歌詞は内容がスイーツ”――私はそんなふうに言われることが多いみたいだけど――クールとはよく言われますけど(笑)――私自身はそうは思っていない。だったら、愛が芽生えた私が、もっと精神的に、もっと人間的に、もっと哲学的に愛と向き合ってみよう、って思ったんです。人間はどんなことがあっても恋をしたい生き物だし、愛し愛されたいと感じているはず。なので、恥ずかしがらずに誠心誠意、愛と向き合ったのが『LOVELAND』なんです。

――『TRUE LOVERS』のツアー終演間近、MCで愛について語っていましたが、『LOVELAND』への一種の所信表明にもなった、のかもしれませんね。

加藤:それはあるかもしれません。愛だ恋だと歌うことは簡単なことだけど、そこに想いを込め、聴き手に歌ってもらえるようになるには、ちょっと堅苦しく聞こえてしまうかもしれないけど、真剣にならないといけないというか、絶対に表現することから逃げてはいけないと思うんです。

――“真剣さ”、“逃げない”という部分は、今作の歌唱における感情の解放からひしひしと伝わってきます。

加藤:歌に関しては、今まで以上に自由に歌うことができました。“歌う”という行為に辿り着くまで、逃げずに練りに練って答えを出す作業。『絶対こう歌わなくちゃいけない!』という気負いはなく、自然と曲にのめり込める環境をつくることができました。知らぬ間にもう一人の私が加藤ミリヤというアーティストを鼓舞させてくれたんだと思う。もしかしたら聴き手には伝わらないレベルかもしれませんが、私自身にとっては大きな変化になりました。

――そんななか、タイトルを『LOVELAND』と命名した背景は?

加藤:アルバムの収録曲に「冷静と情熱のあいだ」という曲があるんですが、その曲こそ私が新作で伝えたい究極の想いなんですね。そもそも日本語に“冷静”と“情熱”の間を表現する言葉はなくって、でも、その感覚が私のなかではぼんやりと紫色だったんです。そんな紫色の静かな海にたゆたうような愛を描きたいと思ったときに、ふと浮かんだ言葉が『LOVELAND』でした。愛に基づく作品だから、“LOVE”という言葉は避けたかったんですけど、もうそれ以上の言葉は見つかりませんでした。

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