どちらも「息抜き」ではなく「本気」? 複数バンドで活躍するボーカリスト特集

 続いては、1月の武道館公演を大成功で終えた黒夢と、SADSでの活動を平行して行う清春。1994年にメジャーデビューした黒夢はビジュアル系バンドとして一般認知を獲得し、徐々にパンクやヘビーロックに傾倒したバンドサウンドで支持を集めたが、1999年に活動休止。その直後にヴォーカリストであった清春がスタートさせたのがSADSだ。そのSADSも2004年に事実上の活動休止となってしまうも、2010年、両バンドの活動再開を清春が発表。現在も黒夢、SADSともに活動に波はあるものの、二つのバンドとソロ活動を行き来しながら、活発な活動を行っている。黒夢では前述の通り激しいパンクサウンドと、ポップな楽曲で存在感を見せる清春が、SADSでは極めてダークネスな世界観を様々な音楽実験の中で表現しているのも、複数の活動形態を持つからこそ出来ることだろう。

黒夢 / ゲルニカ(MISIC VIDEO FULL)
sads / GOTHIC CIRCUS

 そして最後は、4月2日にゲスの極み乙女。と、indigo la Endという、自身がフロントマンを務める二つのバンドの、同時メジャーデビューを控えている川谷絵音。既にデビュー前から数々のフェスや地上波の音楽番組に出演し、業界内でも話題のゲスの極み乙女。だが、その全作詞作曲を手がけている川谷がゲスの極み乙女。が結成される2年前から活動開始したのがindigo la Endだ。自らを“ヒップホップ・プログレバンド”と呼ぶゲスの極み乙女。のひねくれつつもアッパーな世界とは裏腹に、indigo la Endでの川谷が描くのはオーソドックスなギターロックに乗った、真っ直ぐでエモーショナルな世界。しかし、悲観と楽観の間を揺り動く言葉が、全く違う性格を持つ2つのバンドから共通して聞こえてくることもまた興味深い。

ゲスの極み乙女。”キラーボール” (Official Music Video)
indigo la End “名もなきハッピーエンド” (Official Music Video)

 今回は幅広い世代から3人を例に出して紹介したが、このように複数のバンドで、フロントマンを務めるアーティストは他にもいる。聴き比べて共通点や相違点を感じていくと、アーティストの個性がさらに読み取れて面白いかもしれない。
(文=岡野里衣子)

コラムPick Up!

もっとみる

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

映画部Pick Up!