ビヨンセが体現するセクシーな「一妻一夫主義」 ロンドンO2アリーナ公演速報ルポ!

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昨年の6回公演と合わせ、一都市で実に約24万人の動員を誇ったビヨンセのライブ。

 「過去最高にセクシー。でも、その対象は家庭内の伴侶」というアルバム『BEYONCÉ』全体を貫いていたテーマは、このツアーでさらに増幅されて表現されていた。セットもステージ演出もバンドもダンサーもとてつもなくゴージャスなのだが、そんなゴージャスさをすべて凌駕するビヨンセの艶かしい肢体が、ひたすらセクシーにオーディエンスを挑発する。で、その姿に女性オーディエンスがあらん限りの歓声で応えるという、引きで見るとちょっと不思議な構図。そんな過去に前例のないエロティシズム表現と、女性上位のセクシーな一妻一夫主義とでも言うべき新しい価値観の創造がそこにあった。

 今のところ、5月27日のリスボンで全132公演を終える予定の今回の「The Mrs. Carter Show World Tour」。もしこの画期的なツアーがこのまま日本に上陸しないとしたら、日本における洋楽の歴史上の大きな損失と言うしかない。今回のビヨンセのように、1年以上続くワールドツアーの過程でどんどん内容が変化してブラッシュアップしていくツアーといえば、自分が高校生の頃に夢中になって通ったマイケル・ジャクソンの「Bad World Tour」を思い出す。あの時は日本の後楽園球場からワールドツアーが始まって、翌年再び、同じ場所(正確にはその横の敷地)に完成した東京ドームで凱旋公演までしてくれたのになぁ。

■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

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