「狂気みたいなものはずっとついて回る」僧侶となった二階堂和美が“宅録時代”を振り返る

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二階堂和美・アーティスト写真

 シンガー・ソングライターの二階堂和美が、11月23日公開のスタジオジブリ最新作『かぐや姫の物語』(高畑勲監督)の主題歌「いのちの記憶」を含む最新アルバム『ジブリと私とかぐや姫』と、自身の音楽観~宗教観までを語るロングインタビュー後編。

 前編【「この世はうまくいかないものなんだ」二階堂和美が『かぐや姫の物語』主題歌に込めた思いとは】では、「いのちの記憶」の話を中心に、浄土真宗の僧侶である彼女の死生観にまで話は及んだ。後編では『ジブリと私とかぐや姫』に収録されたほかのオリジナル楽曲の創作プロセスや、自身の作風の変化についても率直に明かした。

『かぐや姫の物語』の子育てシーンにリアリティを感じる

――オリジナル新曲の「私の宝」って曲は、二階堂さん自身の境遇も重ねてしまいますよね。

二階堂和美(以下、二階堂):あははは、重ねますよね! この子(取材は二階堂の娘さん同席でおこなわれた)が生まれて最初にできた曲でもあるし。『かぐや姫の物語』でも子育ての部分をすごく丁寧に描いてあるんですよね。自分でもそれがリアルに感じられるところでもあるし。

――4曲目から6曲目の二階堂さんのオリジナル曲(「歩き回って 走り回って」「月の使い」「歓喜」)って、ちょっと昔の二階堂さんの雰囲気が……。

二階堂:あはははっ! ありがとうございます!

――(笑)これが私の知っている二階堂さんだな、と思いました。

二階堂:(笑)ほんとにそうですね。『また、おとしましたよ』(2003年のセカンド・アルバム)を作ってるころの感覚で作ったんです。作り方もそんな感じ。あのころは歌詞を作る前に、ミュージシャンたちにざっくりしたテーマだけ言って、セッションでせーので録っていって、あとから、自分が即興で歌ってるところに歌詞を当てていくというやり方で。今回もまったく同じやり方で作ったんです。だから懐かしくもあり……やっぱり楽しいなって思いました。ウフフフ。ここ最近作る曲は<めざめの歌>も<私の宝>も、歌詞とメロディを同時に鼻歌で作っていくやり方だったので、ああいう「歩き回って〜」とかのやり方は久しぶりで……それでしかできないメロディとか雰囲気があって。前はそれを宅録でやってたんですけど、今回はスタジオでエンジニアさんに回してもらってできたってことで、一個駒が進んだ感じがあって。達成感もありました。

――宅録時代から今の二階堂さんへの変化っていうのは、すごく良い変わり方だと思ってるんですけど、でもいざ変わってみると、昔の宅録時代も懐かしいと思えますよね。

二階堂:あはははは。ありがとうございます!

――だから今回のアルバムも、最近の歌ものと昔の感じの楽曲が同居してて、変わった二階堂さんと変わらない二階堂さんがうまくバランスしていますね。

二階堂:『にじみ』を作っていた時も、タラ・ジェーン・オニールと『タラとニカ』(2011年)って即興のアルバムを並行して作っていて。そうやってバランスをとってる気がします。自分でもああいうのが好きなんですね。今回「歓喜」って曲を作ったけど、あそこに歌詞を当てるのは野暮な気がする。歌詞いらないでしょう、っていう……。

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