>  >  > 『ひよっこ』峯田和伸のシンクロ演技

『ひよっこ』を掻き乱す“変なおじさん” 峯田和伸から漂う悲哀の格好良さ

関連タグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』で、ナレーションを務める増田明美が「朝ドラには変なおじさんがよく出てきますよね、なんででしょうね」と語ったことで話題になった“変なおじさん”こと峯田和伸。有村架純演じる主人公・みね子の叔父・宗男として、作品に良いアクセントを加えている彼の魅力に迫る。

 峯田といえば、ロックバンド「銀杏BOYZ」(現在は峯田一人だが)のボーカル・ギターとして活動し、多くのファンをもつミュージシャンであると同時に、出演作はそれほど多くはないが、俳優としてもドラマや映画で、非常に個性的な存在感を示している。

 俳優デビューとなったのは、田口トモロヲが初めてメガホンをとった映画『アイデン&ティティ』。ロックバンドのギタリストという、自身の立場と近しい主人公を好演した。この作品で峯田が演じた中島は一言でいえば、超のつくダメ男だ。彼女がいるのに女にだらしなく、理想ばかり追っているが、それを「ロック」という理由で片づけるなど救いようがない。しかし、ひとたびライブで歌声を披露すれば、その存在感に圧倒される。ミュージシャン峯田のポテンシャルを最大限に生かした作品だ。

20160908-kisekinohito-sub1-th.jpg
『奇跡の人』(2016年)

 その後も、大槻ケンヂの原作をケラリーノ・サンドロヴィッチが監督した『グミ・チョコレート・パイン』ではAV男優役、宮藤官九郎監督作『少年メリケンサック』では、田口トモロヲ演じるバンドのボーカル・ジミーの若かりしころを演じた。

 どの役にも共通するのが“爽やか”とは正反対の“よどんだ”青春に劣等感をもつ男の悲哀だ。そんな峯田の特徴が最も爆裂しているのが、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』で演じた田西敏行だ。

『ピース オブ ケイク』(2016年)

 弱小玩具メーカーの営業マンとして働く田西は、人はいいものの、とにかくヘタレで素人童貞。そんな彼にも同僚の笑顔が可愛い、ちはると出会い純愛まっしぐら……かと思いきや、後半は地獄のような展開が続いていく。ここでも峯田は、恐ろしいほどに“格好悪い男”を悲哀たっぷりに演じている。

 格好悪い部分を包み隠さず、ストレートに表現しても、それが不快にはならず、逆に哀愁漂い、いつしか共感し、格好いいとも思えてきてしまう峯田マジック。『アイデン&ティティ』の中島も、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』の田西も、格好いい要素ゼロなのに、観ているうちに感情移入し、応援してしまっているのだ。これは峯田のもつ、人に対する独特の距離感と間が影響しているのだろう。

      

「『ひよっこ』を掻き乱す“変なおじさん” 峯田和伸から漂う悲哀の格好良さ」のページです。の最新ニュースで映画をもっと楽しく!「リアルサウンド 映画部」は、映画・ドラマ情報とレビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版