島崎遥香、“いい人”ばかりの『ひよっこ』でアプレ娘を好演! 第12週を振り返る

 『ひよっこ』(NHK総合)には、基本的に“いい人”しか登場しない。第10週の放送から、みね子(有村架純)の働く舞台がすずふり亭へと移り、あかね荘の住人や、あかね坂商店街の人々など、数多くの新しい人物が登場してきた。しかし、第12週にひとりだけ枠を外れた登場人物が存在する。それが、すずふり亭の料理長、省吾(佐々木蔵之介)の娘である由香(島崎遥香)だ。

 由香は、跳ねっ返りで無責任な“アプレ娘”として、これまでも鈴子(宮本信子)と省吾の会話に登場していた。第12週「内緒話と、春の風」にて、鮮烈に登場した由香は、ドラマにスパイスを与えていた。ある日、みね子は省吾から喫茶店で待つ由香へ届け物をして欲しいと、封筒を渡される。みね子と由香の対峙はものの数分。「いつから?」「東北?」という由香の一方的な質問の後に、みね子がお金の入った封筒を渡すとそれを彼女は奪うように鞄へ。由香はそそくさと店を後にし、注文していたミックスサンドとコーヒーをみね子に支払わせるのだった。すずふり亭へと帰ったみね子。次は、鈴子から喫茶店で待つ由香に封筒を渡して欲しいと頼まれる。

 再び対峙するみね子と由香。鈴子と省吾、そして自分までもを財布代わりに使う由香への不信感が、みね子の表情に現れる。「あれでしょ? あんなに優しくて、いい人達を困らせてる、とんでもない娘だ。そうでしょ?」。由香は、みね子の心情を言い当てて見せると、腹痛をもよおしたふりをして、今度はチョコレートパフェ代をみね子に支払わせるのに成功。由香は、みね子の一枚も二枚も上手だ。鈴子は、すずふり亭に戻ったみね子に全てを見透かしたように、由香のお茶代を渡す。「『元気でやっています、と伝えてください』と言ってましたよ」、鈴子を思ったみね子の軽々しい嘘は、かえって鈴子を傷つけてしまっているように見えた。

 人には、それぞれ物語がある。細かな登場人物の設定が『ひよっこ』の魅力の一つだ。みね子が鈴子と省吾から頼まれていた届け物は、以前は秀俊(磯村勇斗)が行っていたこと、それをすずふり亭の全員が知っていることを、みね子は知る。由香と、柏木堂のヤスハル(古舘佑太郎)は同級生で、ヤスハルは彼女に優しくしてもらっていたこと、一郎(三宅裕司)に反抗的な態度を取っていたヤスハルは貰いっ子であること、親の顔を知らない元治(やついいちろう)に声をかけてくれたのが由香であること。次々と押し寄せる様々な人の事情に、みね子は頭がいっぱいになる。

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