新垣結衣は『逃げ恥』で“第3のスタートライン”に立った 喜劇女優としてのガッキー

新垣結衣、マドンナからコメディエンヌへの成長

 毎週火曜22時からTBS系列で放送されている『逃げるは恥だが役に立つ』。初回から視聴率10%を超え、25日に放送された第3話では、第2話で記録した同枠の最高視聴率をさらに更新したのだ。本作は漫画雑誌「Kiss」で連載されている海野つなみの同名漫画を原作に、「契約結婚」に乗り出す男女のドタバタ劇を、労働問題などの社会派要素を織り交ぜながらコミカルに描くラブコメディだ。

 主演を務める新垣結衣と、脚本の野木亜紀子がタッグを組むのは本作で3度目。新垣が気の強いテレビディレクターを演じた『空飛ぶ広報室』、記憶がリセットされる探偵を描いた『掟上今日子の備忘録』と、最近の彼女の主演ドラマはいずれも野木の脚本によるものだ。今回もまた、人気の高い原作のイメージを崩すことなく、女優・新垣結衣の魅力を存分に引き出すキャラクター性を作り上げている。

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 今回新垣が演じる森山みくりは、大学院を卒業して就職活動を行うも、内定を獲得できず、派遣社員になるも派遣切りに遭ってしまう。そんな折、勤勉すぎて恋愛経験ゼロの35歳独身サラリーマン・津崎(星野源)の家で家事代行として働きはじめ、彼の信頼を勝ち取ることに成功。互いの利害関係が一致することから、「雇用主」と「従業員」の関係で「契約結婚」をすることになるのだ。

 すごく今更ではあるが、新垣結衣の経歴を振り返って、彼女の女優としての成長を確認してみたい。ティーン雑誌「ニコラ」のモデルとしてデビューしたのが2001年。2005年頃に女優へと転身を遂げると、ドラマ『マイ ボス マイ ヒーロー』での理想的なヒロイン像と、主演映画『恋空』の大ヒットによって、いわゆる「華の88年世代」をリードする人気女優に成長した。

 10代の頃の圧倒的マドンナ像を払拭したのは間違いなく2シーズンに渡って放送されたドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』であろう。続く『スマイル』では、失声症を持つ少女の役を演じるなど、難しいキャラクターに立て続けに挑戦していたが、正直彼女に求められているものではなかったという印象は否めない。やはり我々が期待してしまうのは、突き抜けて天真爛漫で愛らしい“ガッキー”としての姿だ。

 初の主演ドラマとなった2011年の『全開ガール』では、高学歴の持ち主ながら就職先が潰れてしまい、新しく見つけた働き口で、持ち前の真面目さを発揮して与えられた仕事を(渋々ながら)こなす。なんだか今回の『逃げ恥』の役柄に少し似ている部分が感じられる。その後の『リーガルハイ』では、堺雅人演じる無敗の弁護士にいじられつづける若手弁護士を演じて再び人気が高騰するのである。この2作で、彼女はマドンナ女優から喜劇ができる女優へとステップアップしたわけだ。

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