『勇者ヨシヒコ』『刑事ダンス』『家政夫のミタゾノ』……秋の深夜ドラマは“変化球”ばかり!?

秋ドラマ、深夜帯の見どころは?

 秋のドラマを総チェック! 「21~22時台」から始まる「プライムタイム」のドラマをひと通り眺めた前編【石原さとみ、新垣結衣、米倉涼子……秋ドラマのプライムタイムは“闘う女たち”が活躍】に続く後編では、テレビドラマの可能性を模索する「深夜ドラマ」を見ていくことにしましょう。今季も「女性主人公の活躍」が顕著な「プライムタイム」と比べると、老若男女、多種多様な主人公たちが、いつにも増して斜め上の発想で活躍する作品が多い気がする、今季の「深夜ドラマ」。まずは、いよいよ本気を出してきた(?)“深夜ドラマの雄”こと、テレビ東京の「深夜ドラマ」から。

“深夜ドラマの雄”テレビ東京の本気

 この秋、神谷町から六本木3丁目へと本社を移転するテレビ東京は、“六本木3丁目移転プロジェクト”と銘打った、さまざまな記念企画を展開中。深夜帯にも、その名を冠した特別ドラマが登場します。それが、10月7日の深夜からスタートした、ドラマ24『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(毎週金曜24時12分~/テレビ東京)です。2011年、ロールプレイングゲームの世界観を大いに意識した、けれども超低予算な冒険活劇として視聴者の度肝を抜いた「勇者ヨシヒコ」。その続編から、さらに4年という長い歳月を経て……まさしく満を持して登場する、シリーズ第3弾です。主人公ヨシヒコを演じる山田孝之をはじめ、ムロツヨシ、木南晴夏、宅麻伸、そして佐藤二朗など、レギュラー陣は変わらず。脚本・演出を担当するのは、もちろん福田雄一。映画『HK/変態仮面』シリーズのヒットをはじめ、来年公開予定の実写版『銀魂』、実写版『斉木楠雄のΨ難』の監督に起用されるなど、近年ますます勢いづいている福田監督の“出世作”とも言える作品だけに、かなり力の入った……けれども観ているほうは脱力必至の福田ワールドに期待です。

 そして、今年4月に設置された“土曜ドラマ24”枠では、前クール、TBSのドラマ『せいせいするほど、愛してる』で、“浮かばれない系男子”を好演していた中村蒼が主演する、異色の刑事ドラマ『潜入捜査 アイドル・刑事(デカ)ダンス』(毎週日曜24時20分~/テレビ東京系)がスタートしました。中村蒼にとって初のコメディ作品となる本作は、新人刑事がアイドルユニット「デカダンス」を組んで、芸能界に潜入捜査する……という、なんとも荒唐無稽な物語。しかし、そのプロデューサー欄に、『ゴッドタン』などで知られるテレビ東京の奇才・佐久間宣行の名前があることに注目です。そう、実はこのドラマ、テレビ東京のバラエティー班とドラマ班がタッグを組んで送り出す、実に野心的な作品なのです。中村蒼と「デカタンス」を結成する、大東駿介、横浜流星、森永悠希、立花裕大ら、個性派若手俳優たちの振り切った演技ともども、その破天荒な内容に注目です。

 さらに、前クール、永野芽郁の初主演ドラマとなった『こえ恋』のあとを受けてスタートするのは、森三中の大島美幸とメイプル超合金の安藤なつという、実に異色の2人がW主演を果たす『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』(10月14日(金)24時52分~/テレビ東京系)。『いつかティファニーで朝食を』などで知られる漫画家マキヒロチの人気漫画を原作とする本作は、“住みたい街ナンバーワン”であるという吉祥寺で不動産業を営む双子姉妹が、来訪する客に、表題のごとく、なぜか吉祥寺以外の物件ばかりをお勧めする、異色の“街ブラお引越しドラマ”になるのだとか。主演の2人の掛け合いはもちろん、彼女たちが暮らす吉祥寺の街並み、そして毎回客として登場するゲスト、さらには本人役として登場することが発表されたピースの又吉直樹など、ほっこりとした魅力に溢れた一本となりそうです。

えっ、この人が、深夜ドラマに!?

 “意外性”という意味では、他局も負けていません。その第一報を目にしたとき、思わず「えっ?」と声を上げて驚いたのは、『家政夫のミタゾノ』(10月21日(金)23時15分~/テレビ朝日)。否が応にも、松嶋菜々子主演のドラマ『家政婦のミタ』(日本テレビ)を想起してしまうタイトルですが、よくよく考えたら、その元ネタである市原悦子主演の『家政婦は見た!』シリーズは、テレビ朝日の作品。遂に本家が動き出します。けれども、よく見たら“家政婦”ではなく“家政夫”。そう、本作の主人公である“最強/最恐の家政夫”こと三田園薫は男性。というか、それをTOKIOの松岡昌宏が演じることが、何よりの衝撃でした。しかも、なぜか女装しているし……。とはいえ、オリジナル脚本を担当するのは、『半沢直樹』、『下町ロケット』の八津弘幸など一流の脚本家たち。さらに、チーフ演出は、木村拓哉主演の『アイムホーム』や、草彅剛主演の『スペシャリスト』などを手掛けた七高剛が担当するなど、これは意外と本気の一本なのかもしれません。

 それと同じく、「深夜ドラマに、この人が?」と思わず驚いたのが、黒木メイサと新井浩文がW主演を果たす『拝啓、民泊様。』(10月25日(火)25時28分~/TBS系)。新井浩文はともかく、黒木メイサがこの時間帯に登場するとは驚きです。そして、気になるその内容は、表題の通り、近頃何かと話題の“民泊”の実態に迫ったものとなるのだとか。“鬼嫁”黒木メイサと、リストラを言い渡された“夫”新井浩文が、ひょんなことから民泊ビジネスを始めるという物語。民泊が初めて認可された国家戦略特区域である大田区の全面協力のもと、民泊ビジネスのリアルやハウツー要素も盛り込んだ内容になるようなので、来るべき東京オリンピックに向けて、何かと勉強になりそうな一本です。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる