中村蒼、竹内涼真、竜星涼……夏ドラマ“報われない系男子”役で頭角を現した俳優たち

中村蒼、“報われない系男子”の魅力

※メイン画像は『せいせいするほど、愛している』場面写真より。宮沢綾役の中村蒼。(c)TBS

 今期ドラマでは、9月20日に最終回を迎えた滝沢秀明主演ドラマ『せいせいするほど、愛している』(TBS系)にて、主人公のライバル役・宮沢綾役を演じた中村蒼をはじめ、主人公の対抗馬である“報われない系男子”を演じた俳優たちが話題を呼んだ。

 “報われない系男子”とは、ドラマや映画のヒロインに対して想いを寄せ、劇中で窮地を救ったりもするのだが、最終的には主人公にヒロインを奪われてしまう少し損な役回りのこと。容姿端麗な上に一途で、たとえ片思いが報われないとしても、常にヒロインのことを気遣い支えるキャラは、時折主人公以上の人気を博すことがある。これまでも、『花より男子』(TBS系)で花沢類役を演じた小栗旬を筆頭に、『花子とアン』(NHK)で朝市役を演じた窪田正孝、『ダメな私に恋してください』(TBS系)で最上大地役を演じた三浦翔平、『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)で諒太郎役を演じた瀬戸康史などが注目を集めていた。

 中村蒼が『せいせいするほど、愛している』で演じた役柄は、愛嬌があって仕事もそつなくこなすハイスペック男子で、登場した当初から高い人気を誇っていた。三好海里(滝沢秀明)との恋愛に悩むヒロインの未亜(武井咲)を励まし、一度は結ばれそうになるものの、最終的には彼女の本当の想いを察し身を引いてしまう…。その非の打ち所がない理想の男性像には、多くの女性視聴者が好感を抱き、放送後は「宮沢さんロスやわ」「宮沢さんスピンオフを強く希望」など、宮沢見たさにドラマ終了を惜しむ声が上がっていた。そんな宮沢のことを「自分の性格とは正反対」(参考:モデルプレスインタビュー「“中村蒼史上1番”チャラくてハイテンション!『せいせいするほど、愛してる』関西弁が「新鮮」と話題に」)と評しながらも、最後まで夢を与え続けた演技は賞賛に値するだろう。

 宮沢とタイプは違うが、『時をかける少女』(日本テレビ系)で浅倉吾朗役を演じた、竹内涼真のキャラクターも話題を呼んでいた。浅倉吾朗は、ヒロイン・芳山未羽(黒島結菜)に恋心を寄せる幼馴染の男子高校生。第1話でヒロインに想いを告白するも、タイムリープ能力でそれをなかったことにされてしまう展開は切なかった。その後、突然現れた未来人のケン・ソゴル=深町翔平(菊池風磨)に未羽を奪われショックを受けるが、それでも想いを必死に伝えようと「俺も未羽が大好きだったんだぞ。ずっと言えなくて。超悔しくて。翔平、絶対、未羽を幸せにしろよな」と言い放つ第4話の演技も、竹内の度量の大きさが伝わる名シーンであった。スマートに相手をもてなす器用さはないが、不器用ながらもストレートに告白する姿に、胸を高鳴らせた視聴者も少なくなかったはず。演技においても、圧倒的な人気を誇るジャニーズ俳優に引けを取らずに堂々と、むしろ主演を食ってしまうかと思う程のポテンシャルを見せたことで、新たなファン層を増やすこと成功した。

 また、永野芽郁主演のドラマ『こえ恋』(テレビ東京)では、ヒロインの吉岡ゆいこ(永野芽郁)に好意を抱く激ピュア生徒会長、兵頭誠役を演じた竜星涼が存在感を示していた。吉岡が想いを寄せる主人公の松原くん(声:櫻井孝宏)に「吉岡さんが好きだ。彼女が誰を好きであろうと諦めないし、正々堂々と戦う」と宣言した後、演劇の舞台上で客席のゆいこに告白するも、肝心の彼女だけに気付いてもらえない展開は哀愁を感じさせた。女性と話すだけで耳が真っ赤になるシャイな役柄をコミカルに演じつつも、時折見せるゆいこに対する健気な姿は、“ダメな子”ほど応援したくなるような母性本能をくすぐってきた。2017年に公開される映画『君と100回目の恋』でも、ヒロインに片思いをする青年役を演じるため、そこでもキュートな魅力を遺憾なく発揮してほしい。

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