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嵐・松本潤と風間俊介が熱演『99.9』第2話は秀逸だった! 定番テーマ“正当防衛”をいかに描いたか

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realsound-arashi.jpg(C)タナカケンイチ

 24日に放送された『99.9 刑事専門弁護士』は、第1話のときに感じた違和を、すべて解消してくれるかのような第2話であった。視聴率も19.1%まで跳ね上がり、今期の民放連ドラでこのままトップを走り続けることも、最近すっかり少なくなった20%の大台に乗る可能性も、充分見えてきたのではないだろうか。(参考:嵐・松本潤主演『99.9』は法廷ドラマの名作となるか? 好調な滑り出しの第1話を検証

 今回取り上げられる題材は「正当防衛」。これは刑法総論のカテゴリーの中でも、最も一般的に理解されやすく、しかもドラマでも頻繁に取り上げられる題材である。ある程度の人物関係や状況を掴ませた上での第2話として、視聴者にドラマの本題である「刑事事件」に対する興味をそそらせる目的を考えると、相応しい選択だったのではないだろうか。

 風間俊介演じる依頼人が、血まみれの姿で商店街を歩いているところから始まる。警察に声をかけられると彼は「殺してしまった」と語るのである。飲み屋で絡んできた男から、店外に連れ出され、逆上されてナイフを向けられた挙句、もみ合って刺してしまったというのだ。接見に伺った松本潤演じる深山は、その時点ですでに「正当防衛」ではないのではないのか、と勘ぐるわけである。依頼人は「殺意はなかった」と語るわけだが、「怒りに任せて刺した」という供述と、死亡を確認したわけではないのに「殺してしまった」と語ったことに疑問を抱いたのである。加えて、依頼人本人は相手を2回刺したと言うが、実際には5回刺されているという大きな違いまで発生していた。

 正当防衛は、「急迫不正の侵害」が存在することを要件としている。つまり今回のケースで言えば、ナイフを持った男が襲いかかってきたという差し迫った危険が依頼人に生じていたというわけである。突き詰めて考察すると、あまりに長くなりそうなので端的に言うが、その危険から自分を守る意思で、結果的に相手を死に至らしめたのであれば正当防衛が立証されることも有り得る。しかし、複数回相手を刺したということは、積極的加害意思(殺意をもって相手を刺したということ)があったと考えられるのである。この場合では急迫性が否定されるというのが通説である。

 おそらくこの状況で依頼人を無罪にするためには、正当防衛に持っていく他なく、殺意がなかったことと防衛の意思があったかどうかを証明しなければならない。その点で、恐怖ではなく「怒り」で刺してしまったという供述と、複数回刺していることは正当防衛を立証するには大きなハードルとなるのではないだろうか。現に、依頼人の罰条は殺人と銃刀法違反である。口論の末揉み合って刺してしまって死に至らしめたのであれば、過失致死か傷害致死ではないかと思うが、これがドラマ的な嘘か、複数回刺していることから検察側が殺意を認めたのかは、とくに描かれていないのでわからないことであるが。

 ふとここで、筆者はこれまで大きな勘違いをしていたのではないかと気が付いた。「有罪率99.9%の刑事事件で、0.01%に隠された真実を探す」というこのドラマのテーマは、すべてを無罪に持っていくということではなく、有罪無罪に関わらず事件の真実を徹底的に見つけ出すということだったのか。主人公が「依頼人の利益(=無罪)」に興味がないと語っていたにもかかわらず、第1話の探偵劇さながらの解決編によって先入観を持ってしまっていたようだ。

 物語はこの後、過去に被害者が起こした強姦事件と、依頼人との接点、そして第三の男の存在が登場する。強姦事件の被害者に聞き込みに行くという無神経さは少々鼻につくものがあるが、国広富之演じる経済界のドンを巻き込んでの、すべての点が線になる脚本の巧さは、第1話とは段違いである。真実の追求に法廷シーンを使うことなく、明示された捜査のみで解決させるエピソードを、早い段階で入れてきたということもなかなか挑戦的である。もっとも、方言で出身地を特定するトリックだけは、もう一捻り欲しかった印象を受ける。「だもんで」は静岡の富士市だけでなく三河弁でも使われるので、具体的な場所を示すには少々弱かったのではないだろうか。

      

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