コブクロ、二人で体現した“ONE TIMES ONE”の精神 さいたまスーパーアリーナに“希望の歌”響く

コブクロがSSAに響かせた“希望の歌”

 コブクロのライブを締めくくる、恒例の言葉がある。それは小渕健太郎、黒田俊介とファンの全員が声を合わせて言う「また、ライブで会いましょう!」だ。その言葉を胸にそれぞれが日常へと戻り、再び会える日を指折り数えて待つ。この前その言葉を聞いたのは、昨年11月26日のさいたまスーパーアリーナ、『KOBUKURO LIVE TOUR 2017 “心”』のファイナルだった。あれから8カ月、それぞれの日常を超え同じ場所で会う二人はどんな顔をしているだろう。たった二人だけでライブに臨む『KOBUKURO WELCOME TO THE STREET 2018 ONE TIMES ONE』、このあと大阪公演を控えたセミファイナル、さいたまスーパーアリーナでの再会の時が来た。

 円形ステージの上空に懸かったスクリーンに、懐かしいストリートライブの映像が流れだす。黒田、小渕、どちらも少年のように初々しい。入れ替わるように登場した現在のコブクロは、長いキャリアを重ね成熟したアーティストだが、片手を耳に当て歌う黒田、力強くギターをかき鳴らす小渕の姿は、路上時代の面影を失ってはいない。1曲目、2001年のデビューシングル「YELL~エール~」から「One Song From Two Hearts」へ、小渕はギターを弾きながら右足でドラムのキックを踏み、ハーモニカを吹き、弾き語りを超えた音の厚みを作りだす。聴き手を鼓舞するパワーみなぎる2曲に続き、ありふれた日常に中に人生をかけたラブストーリーを描き出す「Million Films」へ。黒田の声は絶好調で、広いスーパーアリーナの隅々にまで熱く優しい歌声が染み入ってゆく。

小渕健太郎

「初めての、二人だけのアリーナツアーです。いつもの何倍もの声援を送ってください。それを糧にして頑張っていきます。盛り上がっていきましょう!」

 小渕の元気のいい挨拶のあと、早くも代表曲「ストリートのテーマ」が聴けた。ギターのボディを叩き、フレーズをいくつも弾き、ルーパーエフェクターを使って重ね合わせるアッパーなトラックに乗せ、4本の花道を自由に駆けまわり歌う二人。さらに可動式のトロッコに乗り込み場内一周しながらコール&レスポンスを繰り返す、その盛り上がりはもうアンコールか? と思うほどに熱狂的だ。〈朝まで僕らと一緒に 歌ってくれませんか?〉。繰り返すリフレインにスーパーアリーナが揺れている。

 黒田がうれしそうに、客席にバンドメンバーのラムちゃんこと坂井"Lumbsy"秀彰を発見したと報告する。小渕は客席に飛び込み、初めてコブクロを観るという彼氏と彼女のカップルに突撃質問を敢行する。アリーナとは思えない親密なムードの中、「これがコブクロの原点であり最新の形です」と小渕が言う。やはりコブクロは、あの路上ライブの時代から本質的には何も変わってはいなかった。「君になれ」も小渕のルーパーが大活躍、緊張感あるフレーズを積み重ねスピードを上げ、〈いつの日か 本物の君になれ〉と高らかに歌い上げる。真摯なメッセージが鋭い石つぶてになり、びゅんびゅんと心に飛び込んでくる。

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