アニメとロックの融合起こすLiSA、ファンク愛溢れるENDRECHERI……2作の“音楽性”に改めて注目

 また今週の8位は堂本剛のソロプロジェクト、ENDRECHERIの『HYBRID FUNK』。先週77,442枚で1位に輝いた本作が、今週は5,489枚、累計8万枚超えのセールスとなりました。KinKi Kidsならアルバムはだいたい初週で13万枚というのが近年のパターンなので、つまり、この作品を買い求めたのはすべてのKinKi Kidsファンではない。彼がENDLICHERI☆ENDLICHERI名義でファンクに挑んだのは2006年以降ですが、名義をいくつも変えながらもファンク愛だけは捨てず、むしろ凄まじいのめり込み方で追求してきた。その姿勢に感銘を受けたリスナーが残っていったのでしょう。

 そして、今回の『HYBRID FUNK』は堂本剛ソロの集大成ともいえる、あまりにも完成度の高いエレクトリックファンクの名作。KinKiとはまったく違うエロティックな唱法や、音に溶け切っているため英語にも日本語にも聴こえない言葉の節回しなど、ミュージシャンとしてのこだわりに圧倒されます。参加したメンバーも豪華なもので、なんと「HYBRID ALIEN」では山下達郎の超クールなカッティングが聴ける! これだけでも一聴の価値アリです。

 LiSAとENDRECHERI。ともに“アニソンの人”“ジャニーズの人”と括られ、バイアスのかかった見方をされがちですが、イメージだけでスルーしていてはあまりにももったいない。改めてそんなことを考える今週のチャートでした。

■石井恵梨子
1977年石川県生まれ。投稿をきっかけに、97年より音楽雑誌に執筆活動を開始。パンク/ラウドロックを好む傍ら、ヒットチャート観察も趣味。現在「音楽と人」「SPA!」などに寄稿。

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