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文筆、楽曲提供、俳優、映像……バンドの外側でも魅力を発揮するメインソングライターたち

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 複数のバンドに所属し作詞作曲を手掛け、DADARAYのプロデュースを行っている川谷絵音のように、バンドのメインソングライターが自身のバンドの外側でも多彩な魅力を発揮するケースは近年増えてきている。以下のテキストでは、作詞作曲能力、あるいはその他表現力・センスを活かし、活躍するバンドマン6名を紹介していこうと思う。

 最初に紹介したいのが、オワリカラのタカハシヒョウリ(Vo/Gt)。彼はコラムニストとしての顔を持ち、現在ではSPICE、ar、日刊サイゾーで連載を持っている。特撮ソングカバーバンド・科楽特奏隊にも所属しており、特撮をはじめとしたサブカルチャーに造詣の深いタカハシの連載は、気になっているカルチャーについて熱量高く語ったり、その分野に携わるクリエイターに取材を行ったりする内容が主。一方、今年2月より連載がスタートしたarの連載では、“バンドマンでおタク男子”というユニークな視点から読者の相談に答えるという形式になっており、新たな一面を見せている。

カザマタカフミ『売れないバンドマン』

 3markets[ ]のカザマタカフミ(Vo/Gt)は、長きにわたって書きためた自身のブログが『売れないバンドマン』というタイトルで書籍化。昨年12月にシンコーミュージック・エンタテイメントより出版された。同書にはタイトル通り、悩みくすぶるカザマ自身の葛藤が綴られているが、それらを面白おかしく笑いにくるんで終わりにさせるのではないため、内容は生々しく結構ヘビー。しかしだからこそ、その葛藤の根底にあるピュアな気持ち、ひたむきに足掻く人間の美しさのようなものが浮き彫りになるような作品になっている。

 HOWL BE QUIETの竹縄航太(Vo/Gt)はSexy Zoneに「アナタノセイデ」(作詞)、「名脇役」(作詞作曲)を楽曲提供。さらにフジテレビ特別深夜ドラマ『平成物語』では劇伴を手掛けた。そもそもHOWL BE QUIETというバンドがある一定の音楽ジャンルに縛られることなく、多彩な音楽を鳴らしているバンドだということを踏まえれば、彼が活動のフィールドを広げていることもごく自然な流れのように思える。バンドの外で得た刺激を吸収し、HOWL BE QUIETはさらに豊かな表現力を手に入れることだろう。

 クリープハイプの尾崎世界観(Vo/Gt)は、作詞作曲を担当した「FM802 × TSUTAYA ACCESS !」キャンペーンソング「栞」のMVが話題に。公開から2週間が経過した5月6日時点で再生回数180万回を突破し、話題を集めている。尾崎をはじめとした6名のボーカリストが参加する同曲では、例えば唯一の女性ボーカルであるあいみょんが下でハモっていたり、6名の中では比較的声の低い片岡健太(sumika)が高音域の部分を担当していたりと、意外性のある采配も。6人それぞれの新たな魅力、コラボレーションによる化学反応が引き出されている。

尾崎世界観作詞・作曲FM802「栞」MV フルver.(FM802 × TSUTAYA ACCESS! キャンペーンソング)

 最後に紹介するのは、音楽以外の分野でも活躍する2名。まず1人目は、俳優でもある黒猫チェルシーの渡辺大知(Vo/Gt)だ。最近では、昨年12月に公開されて以降未だロングラン中の映画『勝手にふるえてろ』での“ニ”役も話題になった。演技未経験ながらオーディションで『色即ぜねれいしょん』の主人公に抜擢され、日本アカデミー賞新人俳優を受賞したのは2009年で、黒猫チェルシーのデビューと同年。バンドと俳優業をほぼ同時期にスタートさせたことが影響してか、「バンドマンとしての渡辺と俳優としての渡辺のイメージの齟齬」的なしがらみのないことも彼の強みの一つだ。

 ヤバイTシャツ屋さんのこやまたくや(Vo/Gt)は、“寿司くん”の名義で映像作家としても活動。オリジナルアニメーションを制作しているほか、岡崎体育のほぼすべてのミュージックビデオを手掛けている。そして“ミュージックビデオあるある”を再現した斬新な構成の「MUSIC VIDEO」ミュージックビデオは、「第20回文化庁メディア芸術祭」の「エンターテインメント部門 新人賞」の受賞作に。4/15放送回の「関ジャム 完全燃SHOW」では、関和亮・児玉裕一も「面白いんですよね。だからまたカチンときて(笑)」と同作を評価していた。

 バンドの外でのメインソングライターたちの活動は、本人自身や所属バンドの引き出しを増やすきっかけにもなりえるほか、専業作家とは異なる視点から生み出される作品は、それぞれの分野に新たな風を吹かせてくれる。一般企業においても副業(複業)解禁の動きが広まりつつある昨今、彼らの動向に改めて注目してみるのも面白いかもしれない。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

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