NexTone、YouTubeから再生数に応じた著作権料徴収へ 弁護士が語る法的ポイントは?

NexTone、YouTubeとの新契約の法的ポイントは?

 音楽著作権管理会社・NexToneが9月4日、利用許諾契約の中にYouTubeデータエクスチェンジに基づいた仕組みを活用し、精度の高い利用実績データを得る内容を新たに盛り込んだと発表した(参考:YouTubeから再生数に応じ著作権料 楽曲管理会社(朝日新聞DIGITAL))。NexToneはこれまで著作権料を年間定額でYouTube側から受け取っていたが、今回の契約では楽曲の再生回数に応じて支払われるようになる。

 なぜこれまで包括契約だったのか、また公式ではない動画で楽曲が使われた場合の扱いはどうなるのか。エンターテインメント業界に詳しい弁護士の小杉俊介氏に契約のポイントなどを聞いた。

「これまで再生回数に関わらず定額の包括契約だった理由としては、YouTubeをはじめとする動画投稿サイトは動画の数自体が膨大なので、1曲1曲の再生回数を把握することが技術的に難しいという理由が挙げられます。公式MVの再生回数だけであれば簡単に把握できますが、『弾いてみた』『歌ってみた』などの自演系の動画などに使われたものに関しては技術的に数え上げることが難しかったんです。今回の契約ではNexToneからYouTubeに提供される作品情報を積極的に活用し、YouTubeがNexToneの管理楽曲を技術的に把握できるようになったということです」

 続いて小杉氏は、多くの楽曲を管理しているJASRACとYouTubeの契約についても解説した。

「YouTubeとJASRACは2008年に包括契約を結びました。包括契約に含まれているので、二次創作動画に楽曲を利用するのはJASRAC側としては問題ありません」

 二次創作動画といえば「歌ってみた」や「踊ってみた」が想定できる。レコード会社の許可を得ずにアップロードしても問題ないのだろうか。

「レコード会社はレコードに固定された音に対する権利である原盤権という著作隣接権を持っているため、著作権管理会社とYouTubeが契約をしたからといってユーザーは音源を勝手に利用できない。原盤権者がダメと言ったらダメなんです。つまり、JASRACやNexToneの契約に含まれているのは原盤を使用しない形での音楽の利用で、CD音源を使った『踊ってみた』ではなく、『歌ってみた』『弾いてみた』という動画が認められているということになります」

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